ターン18 冥府の姫と純白の龍
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なんでこんなに美味しい店なのにお客がいないんだろう、と大きなお世話だと知りつつも訝しんでいると、彼女のデュエリストとしての感覚に何か訴えかけるものを感じた。それと同時に店のドアが開き、一人の男が入ってくる。
「いらっしゃいませ、だってさ…………貴方は!」
「よう、久しぶり。ドラゴネクロは使いこなしてるみたいだな」
その声を聞きながら、そう言えば前にこの男と会った時もこんな感じだった、とぼんやり思い返していた。誰かがいてもおかしくないのに、彼が出てきたときは近くに鳥すら飛んでいない。去年の彼女に冥界龍のカードを手渡し、最後まで謎めいたことを呟きながら世界に4枚しかないはずの青眼の白龍を使いこなしていた男。自分の名前すら名乗らずにどこかから来てどこかへと去っていった、得体のしれない男。
「おいおい、そう警戒するなよ。今回はちょっと忠告に来ただけさ」
「忠告?」
この男の話に耳を傾けるのは危険だ。そう思いながらも、彼女は自分を止めることができない。まるで、ずっと昔から知っている、信用している相手の話を聞こうとしているように。
「ああ。もうじきこの町はかなりヤバいことになる。俺らが知ってる世界よりも数段な。つっても、お前は覚えてないんだったな。えいくそ、なんて言ったもんだか………もうなんだっていい、今すぐこの町から離れるんだ!頭数増えた帝使いが揃いも揃って暴走中の上位種精霊引き連れてこの町ごと結界に入れようとしてるんだよ!」
「………え?」
一体この男は何を言っているのか。まるで漫画かアニメのような、常識からはるかにかけ離れた発言にさすがの彼女も若干引き気味になる。そんな目で見られていることに気づいた男は舌打ちし、最善の策が駄目なら次善の策だといわんばかりにデュエルディスクを構える。
「まぁ、こーなることは薄々わかってたけどな。説明してる時間が惜しい、力づくにでも引っ張り出してやるよ。下手に干渉するのはまずいってドラゴネクロの時もさんざん大目玉喰らったんだけどな、これも昔のよしみだ。ほら、さっさと構えろよ。今回はマジでヤバいんだ、改変なんて騒ぎじゃないことになる」
何を言ってるのかは1ミリも理解できなかったが、とにかく勝てばいい。ならば何も問題はない、いつも通りにカードを使えば必ず勝つ。面倒事は全て決闘で片が付く、それが常識というものだ。
だがその前に周りを見渡してそこが店内であったことを思い出し、無言でドアの向こうの外を指さす。当然のようにそこも、人っ子ひとり歩いていないゴーストタウン状態だ。
「いいぜ、こんな狭い店じゃ俺のかわいい青眼も見栄えしないしな」
そう言い、半ば飛び出るように外に出る男。なにを言ってるのかはいまださっぱりだが、少なくとも彼が急い
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