ターン18 冥府の姫と純白の龍
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窓から見える港が徐々に近づいてきて、ガコン、と船体に軽く衝撃が走る。特にこれといった小競り合いや事故もなく、僕らを乗せた船が童実野埠頭に到着したのだ。
「着いちゃったかぁー……」
「童実野町、入学試験以来だぜ!」
僕が死んで生き返ることになった地でもあるけど、それだけじゃない。少なくとも卒業までは来ることはないと思ってたんだけど、人生そううまくはいかないもんだ。
『マスター、一体何があったんだ?行先が決まってからずっとそんな調子で、そろそろ私にぐらい教えてもらってもいいだろう』
「あれ、何回か言わなかったっけ?僕の記憶でもなんでも好きに漁っていいよってば」
よくわかんないけど、神様ならそれくらいのことはできるだろう。いくらチャクチャルさん相手でもあんまり歓迎はしないけど、このことについてはあまり思い出したい話じゃないから、自分で話すぐらいならむしろ勝手に探ってくれる方が個人的にはありがたい。
『マスターが言う気になるまで待つさ。例え邪神と呼ばれようと、モラルぐらいは備えている』
「………なんか、ホントに変わったよね。初対面の時はもっと威厳たっぷりだったのに」
『いまさらキャラ作る必要はあるまい』
冗談だか本気だか判別のつきにくいことを呟き、そのまま頭の中のチャクチャルさんが引いていく感覚がする。気を使ってくれてるんだろう、多分。
「え〜、それでは皆さん、本日の予定ですが……」
「ああ、失礼。私たちはこの町に少し用事があるので、ここから先は別行動としてもよろしいでしょうか?」
「え?ま、まあ、そういうことなら仕方ないでアール。御機嫌よう」
「ありがとうございます。では」
ぼーっと見てたらそんな会話の後、ぞろぞろと白い集団がどこかへ一斉に歩き去っていった。後に残ったのは僕と十代、翔に剣山と夢想、そしてエドだ。
「あれ意外。いいの?斎王のとこ行かなくて」
「フン。僕は斎王の友人であって、光の結社に入っているわけではないからな。彼がどこに行くかは僕も知らん。とはいえ、僕も個人的な理由からこの場からは去らせてもらいますよ」
相変わらずのデカい態度でそれだけ言うと、斎王たちとは反対の方角に歩き去って行ったエド。おかしいな、全校、どころかなぜか当然のような顔でついてきたノース校含めて学校二つ分の人数で来たはずなのになんで到着3分で10人以下になるんだろう。
そのあまりと言えばあまりの様子に、行先がイタリアでもイギリスでもなかったために元からやる気のなさそうだった引率の2人が完全にやる気をなくしたらしい。
「えー、それではこれ以降は自由行動でアール。帰りの船に乗り遅れたものは置いていくので、各自そのつもりで。じゃ、そゆことで」
「皆さん、くれぐれも気を付けるノーネ」
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