episode3
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なるが、自分から出たいと思ったことは無い。きっかけがあれば話は別だが...。
「......来い」
「え? あ、ちょっ......こら! 掴むなって! 下ろせ! どこに行く気っ!?」
「俺の船だ」
「はあ!?」
アンカーを掴み、部下たちを連れて歩きだす。抗議の声は完全に無視して、いくら殴られようと噛み付かれようともその手を決して離すことはなかった。
しばらく歩いている内にアンカーの抵抗は治まった。何をやっても無駄だと覚ったからである。
魚人街の外れ。アンカーの住処とは逆方面のその場所に、アーロンの船はあった。船の上には、たくさんの魚人と人魚の海賊。自分たちの船長が掴んでいるモノを興味津々な様子で甲板から覗き込んでいる。それが人間の姿をしていると分かると、ざわざわと騒ぎ始めた。
そんな仲間たちに、アーロンは声を張り上げて告げる。
「てめえら、よく聞けぇ! 今日からこいつを俺の船に乗せる。知ってる奴もいるだろうが、こいつは俺たちと同じくれっきとした魚人だ! 言わば、同士だ! 下等な人間共を憎む仲間だ! 俺の決めたことに異論がある奴ァ、今すぐ出て来いっ!!」
「はいはいッ! 異議あり、異議あり! ワタシは仲間にはならないって言ったよな!?」
「却下だ」
「なんでっ!?」
アーロンはニヤリと笑う。ギラギラした尖った白い歯が剥き出しになった。それを見て、不安が過ぎる。
「“好きにしろ”と言ったのはお前だ」
「.........言ったけど。...言ったけど、そういうことじゃない!」
「知るか! シャーッハッハッハッハッハァッ!!」
「最悪だ。最悪の誕生日だ...」
「ほお? そりゃ、めでてぇ。野郎共! 宴だぁ!」
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