SAO編−白百合の刃−
SAO21-黒髪の少女
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度呆れて苦笑いするも、一筋の涙が零れ落ちた。
「まったくもう…………すっごいバカなんだから」
言葉とは裏腹に、穂のかで暖かい言葉だった。そして涙を誤魔化すようにぎこちない笑顔になっていた。
私はそっとドウセツに寄って左手を取り、赤い指輪を薬指にはめた。
「指輪とか貰って嬉しいかわからないけど、涙を流すとか私もバカね……」
「素直に嬉しいって思ったことは言っていいんだよ?」
「うるさいわよ。余計なお世話だって……」
言葉では否定しているようにも聞こえるが、今のドウセツは嬉しさに溢れている、一つの幸せを感じる少女だって誰からでもわかるように見えている。
良かった。ドウセツが幸せだと感じられて、私も嬉しい。
「…………ありがとう」
「うん」
ドウセツは涙と照れを隠すように、消えそうな声で私にお礼をした。顔はそっぽ向いているが、今のドウセツの表情は誰が見ても笑うような顔ではなく、満たされた表情になっているだろう。
そう思った瞬間、ドウセツはビクッと体が震えて視線を横へと向けた。
「…………どうしているんですか……センリさん」
いつの間にか、気分上昇状態のセンリさんがカメラを構えているのではないか。
いい雰囲気が一転。華麗なる一面花畑でも、ドウセツの殺気による禍々しい黒いオーラによって戦場へと活してしまった。
そんな雰囲気を察しているのか察していないのか、察していても気にしていないのか、日常会話をするようにセンリさんは答えた。
「なんでって、数時間前にキリカちゃんが凄腕の細工職人を教えてほしいって聞かれたの。そこで、あたしはきっと面白そうな匂いがしたら、女の勘?でキリカちゃんを探していたらなんと、ドウセツが完全にデレた姿を撮影することができたわ!」
センリさんの答えに、ドウセツはカタナに手を当て始める。まるでセンリさんの言葉が戦線布告の合図のように、戦闘態勢に入っていた。
センリさん、そうなることもわかっていて言っているはずだから、質が悪い。
「消去しなさい……今すぐに! でないと殺す!」
「恥ずかしい思い出は青春となるのよ〜」
よっぽど写真に撮られたくないのか、氷のようなクールな欠片もなく、怒りの焔を炊き上げるように、恥ずかしがり屋の年相応な少女のように声を発しながら、センリさんを本気で斬ろうとしている。いや、殺そうとしている表現の方が正しいわね。
「逃げられると思っているのなら愚か者ね!」
「あら〜。こう見えても、あたし足速いのよ〜!」
そんなドウセツの変わった表情が見られて勢いついたのか、楽しそうにからかって逃げ惑っていた。
「……私を残して鬼ごっこですか……」
鬼は鬼よりも何倍も怖いような気がする。それなのにセンリさ
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