第1話 リィン・クラウゼル
[6/7]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
こともあり、返り討ちにはしてきたがそれほど危険という事だ。そんな危険な連中が子育てなんて冗談にも聞こえない。
「ゼノ、お前の言う通り俺達猟兵の元にいたんじゃ危険極まりないだろう、どこかの孤児院に預けたほうがよっぱど安全だ」
「なら……」
「でもよ、俺が見つけたのに後は他人に任せて知らんぷり……っていうのは納得できない。それに俺も捨て子だった、尚更この子の気持ちは分かる。だから最後までこの子を見守りたいんだ」
「ルトガー……」
俺も親に捨てられた子供だった、そんな俺を拾ってくれたのはかつて猟兵をしていた人だった。彼に拾われ様々なことを教えてもらった、そして恩人が死に俺は猟兵を目指した。色々あったが今では仲間という家族ができた、そして今は西風の旅団の団長として家族を守るために戦っている。
そんな自分が赤ん坊を拾った、かつての自分を育ててくれた恩人のように……だからこそ俺はこの子をほっとけなかった。
「せやけどな……」
「ゼノ、諦めろ」
「レオ……」
それでも納得ができないゼノに、レオが声をかけた。
「団長は一度決めたことを決して曲げない男というのはお前も知っているだろう。元々俺達も団長に拾われた身、団長が決めたならそれでいいじゃないか、なあ皆」
レオの言葉に団員達が頷いた。どうやらゼノ以外は賛成してくれたようだ。
「なんや、これじゃ俺だけが悪者みたいやないか」
「すまないなゼノ、お前の言う事も分かる。それでも俺はこの子を育てたい」
「分かっとるよ、そこまで言うなら俺はもう言わん。唯団長がちゃんと子育てできるか心配なだけや」
「お前なぁ……」
そう言って笑うゼノを俺はジト目で睨む。
「でも確かにルトガーだけじゃ不安よね」
「マリアナ、お前まで……」
「なら俺達でフォローすればいい、団長の子なら俺達の家族でもあるからな」
レオがそう言うと、他の団員達もそれに賛同した。
「そうだよな、団長だけじゃ不安だもんな」
「子供ってどうやって育てればいいのかな?」
「何か食べられるもの持ってこい」
「子育てなんて初めてっすよ」
「何だか楽しくなってきたわね、あの子が着る物あったかしら?」
すると団員達はそれぞれが自分が出来ることを話し合いだした。
「……はあ、何だよ、お前らのほうがノリノリじゃねえか」
自分よりも子育てに張り切っている団員達を見て俺はため息をついた、だが同時に嬉しくも感じた。やっぱりこいつらは最高だぜ。
「それでルトガー、この子の名前はどうするの?」
「この子が巻いてあるこのマフラー、よく見ると名前が彫ってあるんだ」
子供の首に巻かれた赤いマフラー、そこに
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ