第1話 リィン・クラウゼル
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あ、というか戦場にいた俺がどうやって隠し子なんか連れてくるんだよ」
「じゃあ全部私の勘違いって事……!!」
俺の必死の弁解を聞いたマリアナは少し何か考える仕草をとったあと、顔をトマトみたいに真っ赤にして慌てている。一体どうしたんだ?
「団長、姐さんは団長が他の女と子作……」
「ゼノ、余計な事言ったら穴開けるから」
「……なんでもありません」
ゼノが俺に何か言おうとしたが、マリアナに銃を突きつけられて黙ってしまう。マリアナは若干顔を赤くしながら俺の方をチラチラと見ていた。
「ああ、そういう事か……」
俺はマリアナの勘違いに気が付いてニヤっと笑みを浮かべる。そしてマリアナを抱き寄せて頭を撫でた。
「ルトガー……!?」
「すまねぇな、マリアナ。不安にさせちまったみたいだ。だが俺が最初に子供を産んでほしい女性はお前なんだ。だから他の女と子供を作るなんてことはしねぇよ」
「えっ……」
「愛してるぜ、マリアナ」
「わ、私もルトガーの事を……」
顔を真っ赤にして俺を上目遣いで見るマリアナ、そんな彼女を愛おしく思った俺は彼女の唇を奪った。マリアナはそれを自然に受け入れて少しの間静寂が生まれる。そして彼女からそっと離れるとマリアナは嬉しそうにほほ笑んだ。
「ルトがー……私、貴方が望むならいつでも……」
「んで、俺達はいつまでこんな甘ったるい空気を感じなきゃいけないんや?」
「やるなら俺達のいないところでやってほしいものだ」
蚊帳の外にいたレオとゼノがそう言うと、マリアナは顔を赤くしながら俺から離れた。
「あ〜コホンッ!!……で、ルトガー。この子を森で拾ってきたって言うけどよく気が付いたわね」
「ああ、微かに人間の気配を感じたんだ、しかしよく見つけたと自分でも思うよ」
「やっぱり捨てられたのかしら」
「あんなところに一人で放置されていたんだから、間違いなく捨て子だと思う」
「無責任な親もいたものね」
「せやな、んで団長、その子はどうするんや?」
「決まっている、俺達で育てる」
俺の言葉を聞いて団員達は驚いた表情を浮かべた、俺何か変な事言ったか?
「何だよ、お前ら不満なのか?」
「そうやないけど……でも団長分かっとるんか、俺らは猟兵やぞ?」
なるほど、ゼノが言いたいのは『猟兵』が子育てをするリスクか。常に戦場を求め歩く俺達は死と隣り合わせの生きかたをしている。例え直接戦闘に関わってなくとも猟兵団の関係者と知られれば周りからどう見られるかは分かり切っている、子供であろうとな。
ましては自分達は西風の旅団、その圧倒的な強さは有名だが逆に言えば恨みも相当あるということだ。実際今までに何回か襲撃された
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