第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
1.August:『The Lightning』
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て二十一枚、総額十八万円分……世の中、何考えてるか分かんねぇ奴が居るもんだ」
「ほう、単価は分からぬがそれなりの額であろ? では茶店に行こうぞ、遊里ならば尚良し」
「行くわけありませんの、そして後者は存在してませんの」
結構な枚数と金額になった為、一旦支部に帰る事として。その道々、嚆矢は呟く。辟易した表情で、マネーカード探しに飽きて彼におぶさっている、市媛を運びながら。
炎天下で歩き回っている事もあり、既に三人は汗まみれだ。嚆矢の背中の一人を除いて。勿論、タオルで拭いてはいるが限度はある。忌々しいくらいに勤勉な太陽に、文句が言いたいくらいだ。
「いや、そろそろ休憩入れよう。無茶して日射病とか熱中症とかになっちゃあ、素も子もないし」
「それはそうですけれど……むぅ、仕方ありませんわね」
「そうじゃそうじゃ、儂は『ぱふぇ』とやらを所望するぞ。この一番でかい奴じゃ」
と、市媛が何処からか取り出した勧進帳を見せてくる。良くポストに投函されている、食品関係のチラシの切り抜きが貼られた物を。
「うわあ……見たくなかった、チラシをスクラップして持ち歩く第六天魔王とか見たくなかった。幻滅した」
「なんじゃと貴様、そんなに鋸挽きが好きじゃったとはの」
「あ、あのでも、この近くに喫茶店なんてありましたっけ?」
仲裁するかのように声を上げた飾利、嚆矢が休憩を勧めて黒子が納得した理由である彼女。
元々、体力面では実戦派の嚆矢や黒子には及ぶべくもない情報処理要員の彼女は、ヘロヘロと危なげな仕草で。
「それなら、良い店があるよ。そこの角を右に曲がったトコに」
「へえ、なんてお店なんですか?」
だから、その店を案内する。先も言った通り、この路地裏は土地勘がある場所だから。
「純喫茶、ダァク・ブラザァフッヅさ」
「“昏い同朋団”……ですか。なんだか不吉な屋号ですのね」
一瞬だけ、まるでこの世界が息を呑んだかのように。太陽から雲により隠された日陰の中で、蝉時雨が止み、鳥肌の立つような薄ら寒い風が吹き抜ける中で。翻るツインテールとスカートの裾を押さえた黒子が、そんな事を口にしたのを聞きながら。
彼の魔術の師、魔導書“象牙の書”の持ち主『“土星の円環の魔導師”アンブローゼス=デクスター』の経営する、その店の名を口にした。
………………
…………
……
そこは、この盛夏の最中でも薄暗く。まるで、地下の大神殿だと。その喫茶店に仕掛けられ
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