第3章
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「勿論ソマリです。此の猫が居たから、彼女はソマリを一番愛して居るんです。」
青山涼子 ソマリで検索すると其の猫の絵と写真が見れます、と時一から云われ、課長は検索を掛けた。
「似てるな。」
「そうですね。」
青山涼子の愛猫と雪村凛太朗の愛猫、見分けが付かない程そっくりだった。猫に興味無い人間からすれば猫等品種が同じなら同じに見えるが、青山涼子程猫を愛し、精通する人間なら、猫の顔も人間の顔同様全く違うと認識出来る。
「青山涼子は、此の、なんだっけ、雪村の…きなこ。」
「課長さん、違います、此方はわらびです…」
「…誰だ、写真の下にきなこって書いた奴。御前か、本郷。」
課長ですよ、変わらん、間取って抹茶、そう仰ったのは貴方です、と龍太郎の声がした。
「きなこは、青山涼子の方です。青山涼子のソマリが、きな粉ちゃんです。」
「ほら聞け。きな粉で合ってるじゃないか。」
「課長、合ってないです…。こっちのソマリはわらびちゃんです…」
「もう判らん。どっちがどっちか判らん。なんか違い無いか…」
其処迄似ているのだ、此の二匹は。
青山涼子のソマリ、きな粉の写真をプリントアウトした課長は、雪村凛太朗のソマリ、わらびの横に並べ、時一も全く同じ事をしていた。
「斎藤さん、なんか違い無い?」
「そうなぁ…」
猫博士八雲ですら見分けが付かない。詳しいからこそ、全体の九割が完全一致する事に気付く。
「見た目が一緒なんは、人間が同じなんと同じで仕方無いにしても…、ソマリは大体四種の毛色に分かれる。ルディ、レッド、ブルー、そして此のフォーン。此の別嬪さん達は目もグリーン、毛もフォーン、鼻の高さも一緒やな…。違いなぁ…、画像だけじゃ判らんな…。猫の顔の違いは、鼻の高さで変わるんやけど、難しいな…。横顔、全く同じやん。」
八雲が雪村邸で撮ったわらびの横顔、其れをプリンターに送信し、きな粉の横顔に並べた。
「うわ、双子みたい。」
「よなぁ。双子でも此処迄似らんぞ。」
「其処迄似るか。」
「そうなぁ。わらびって知らんで、きな粉知っとる奴が見たら、きな粉やと勘違いするやろな。」
「青山涼子はわらびに惚れて、雪村と結婚したらしい。」
課長からの情報に、判るわ、と頷いた。
「此処迄似とる、青山涼子もわらび初めて見た時、腰抜かしたと思う。死んだ人間が目の前に現れるんよ?びっくするやろ。雪村の旦那から聞いて、わらびを見た時の青山涼子の態度。後、ほんまに旦那がタキガワコウジやったか。」
課長は頷くと電話を切り、八雲は宗一に電話を渡した。
「オモロイ事になって来たやないか。」
八雲はホワイトボードから文字のコピーを剥がし、自分の席に座った。
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