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猫の憂鬱
第3章
―9―
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liar)のLね。うんうん。」
三人の会話だけ聞く時一は、如何言う内容なの、と頭を悩ませた。
死神と呼ばれる不良が居て、主人公が虐められてて、結局虐めて、ハッピーエンド、如何言う事だ!
「あっはっは!死神事故った!死神の癖に事故った!死神の癖にぃ。誰に名前書かれたんだよ、うけるぅ。」
「其処笑うトコちゃう!」
「えー…、じゃあもう笑う場所…、あっはっは、あったあった!」
千円の価値あるね、と読み終わった秀一は宗一に返した。
此の漫画、此の後結局同人作家に戻ったタキガワ本人が、本領発揮で十八禁版を出している。其れが馬鹿売れなのだから、出版社側も辛い。始めから其れで描かせりゃ良かったのに、と思うが、猟奇エロが描きたいならデビューする意味が無い、同人作家の儘で充分、本人ですら売れないと確信する然し描きたい内容で本を出した、大手の看板を掲げて。
爆死したって構わない、費用は出版社持ちだ。此れで一応は漫画家を名乗れるだろう。
タキガワはそんな気持ちだったのだろう。本当に、付き合わされた出版社が可哀想で仕方が無い。
「なんか気付いた事ある?」
何も無意味にゴミを読ませた訳では無い。
八雲は一言、おっぱいの描き方が大好き、と云った。
「他は?」
「本人は男前ちゃう?」
「他。」
他、と聞かれても、もう何も無い。
パラパラと頁を捲る八雲の表情は絶望仕切り、然し、目がある一点で止まった。
「あら?」
「お、なんか見付けたか。」
「此の文字…」
主人公の横に描かれる直筆に八雲は顔を寄せ、大股で自分の席に行くとファイルを開いた。漫画とファイルを持ち、交互に見た。
「うーん?」
「似てた?」
「似てるぅ…けど、なんで?」
ファイルから日記のコピーを取り出し、続けて漫画の方もコピーした。其れを見比べる八雲は、なんでこんななってんの、と呟いた。
「なんで、青山涼子の方が、タキガワの文字に似てんの。」
「逆、やなくて?」
「いや、此れは違うな。青山涼子の方が、コッチを真似とる。真似とると言うか、知らん間に似た、て感じ。」
「…タキガワの文字を見てたら、似て来たって事?」
「かも知れんし、何かの理由があって、タキガワの文字書いてたか。其れが自分の文字になった。」
全体が似てる、と八雲はコピーをホワイトボードに貼り付けた。
「此の二人、何?何の繋がり?」
「元夫婦だって。」
「はあ!?」
宗一の言葉に、八雲では無く時一が反応した。
大股でホワイトボードに近付き、タキガワは元旦那じゃない、と首を振った。
「僕が云うんだよ?タキガワは違う。」
何年青山涼子のファンやってると思ってるんだ、と時一は息巻く。
そうは云われても、一課側から、青山涼子の元旦那、という説明で此の漫画を受け取った。自称世界二のファンと名乗る時一の言
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