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猫の憂鬱
第3章
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好きなんだ、酒が好きなんじゃない、坊主にして犯罪が無くなるならするが、そうじゃないだろう。見てみろ、坊主の奴は階級は同じの癖に、課長にならなかったじゃないか、はは、ざまあ、長髪の大勝利だ、貫いて良かった。
そう思うから此の課は、髪染めとアクセサリー以外の事なら何や彼やが緩い(此の二つが許されないのは、唯単に課長がお気に召さないからだ)。部下は三十人居るが、電話番号等全員知らない、偶に名前さえ忘れる。宴会はしたい奴だけしろ、但し俺は絶対呼ぶな、呼んだら解雇、と酷い。
なので此の課、部屋の隅の方に居る刑事達は、羨ましい目で主力部隊を眺めている。
課長の席から見えるのは精々十人である。
課長を筆頭に、木島・加納、龍太郎・井上、五十嵐・小野田、の計七人の課では無いのだ、きちんと一クラス分位の刑事は居る。
受け持ち生徒の名前を覚えない担当は居ないだろうが、一人一人の個性や趣向を熟知する担任は居ないだろう。目立つ生徒と主力の生徒、担当には其れで充分である。発言しない、クラスに埋もれる生徒を担任は見ちゃ居ない。
然し課長、大体は把握している、一番年下が二十五歳の加納、五十嵐、小野田、新人扱いは加納だけで、全員二年以上此処に居る。課長が課長になったのは十年も前であるから、把握して居ない方がおかしいが。
新人なのは加納で間違いないが、階級で見れば加納は警視に位置するので、警部の課長より偉い。実際六月迄警視だった、加納は。其れを捨てたのだから阿保なのだ。
「加納のお巡り姿、見てみたいな。」
靴裏を見乍ら課長は答えた。
「おー、俺も見たい。」
此の場で巡査制服を着た事が無いのが、加納だけである。若しそんな人物が居るなら、其は加納同様の失態を犯している。
「正装ならありますが。」
「何で、国家公務員の警視様の正装なんて見なきゃいけないんだよ。」
「そうだそうだ、地方公務員の制服着ろ。」
「課長の正装、くそかっけぇよ。」
「其れは、まあ、想像出来ます。」
「大体何で毎年、課長は署長と一緒に正装で写真撮んなきゃならんのかな。俺、毎年、なんで高熱が出ないんだろうって思う。加納代われよ。」
「ワタクシ、新人です。」
「木島、課長になるか?」
「え!?良いの!?」
「全員即日辞めるだろうがな。」
あはは、と課長はくるくる椅子を回し、うん?と龍太郎は思った。
機嫌が良い、というよりは、ぶっ飛んだ感じがする。ストレスが溜まり過ぎ、何かが弾けた、そんな感じ。
ぶっ壊れたのだ。
たった一週間で。いいや、五日で。
「課長?」
「真昼のー、つーき、は何時も、見てーいるーぅ。えーにたーい。」
「如何しよう、菅原先生の所為で、課長がぶっ壊れてしまった…」
「慰謝料請求しようぜ…」
がし、っとデスク端を掴んだ課長は、怯える龍太郎達を気にせず、タキガワ
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