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猫の憂鬱
第3章
―5―
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抑、漫画も読まない井上が何故タキガワを知っているかと云うと、彼は同人作家と並行し、怪しげな店を持っており、其の店を井上は知って居たのだ。其れが此れ、と自分のパソコンを課長に見せ、木島も覗いたのだが、御前は二次元見てろよと省かれた。
SMクラブ?にしてはもっと毒々しい、内容を読み進めた課長は大笑いし、井上も良い趣味持ってるな、と肩を叩いた。
タキガワがオーナーの此の店、ハプニングバーなのだ。聞いた龍太郎は笑いを堪えるのが大変で、木島の其の軽蔑の眼差しも可笑しかった。課長一人が喜んで居た。
「性癖が露見したな、拓也。」
「出来れば知られたくなかった。」
「良いな、俺も昔嵌ってた。」
課長の言葉に、ほら!と井上は強気だ。
「こういう場所に居る奴等は、後腐れが無いんだよ。」
「そうそう。同じバーでナンパするよりよ?端っから、ヤりたいだけです、て意思表示した方が手取り早いじゃん。女一人で来るにしたって、自分が入場料払ってんだから、男の懐は痛まねぇの。馬鹿ねぇ、木島さん。」
「だって見られるんだろう?」
「確かに見てるけど。」
「皆、自分の世界に没頭してて、余り見られてる感覚は無いぞ。部屋がちゃんと区切られてるから。其れに、其処でしなくても他所行くしな。」
「ルールが目茶苦茶厳しいから、クラブより安全じゃね?」
「本当、嵌ってた。此れだよ、此れ。此の楽しさだよ。」
「嵌るぜ、彼処は。木島さん、今度連れてってやろうか。」
「遠慮する…」
上司と後輩に未知の世界に連れて行かれそうになった木島は自分の席に戻り、電話を弄る加納を窺った。
「ハプニングバーって、如何思う?」
「生まれて初めて聞きました。」
なので加納、此の会話の意味が良く判って居ない。木島が説明すると、へえ悪趣味ですね、とあっさりだった。
性に関して無知と云って良い程の龍太郎が、何故其れを知っていたかと云うと、大学生の頃、無理矢理井上に連れられたから。風俗より絶対面白い、と井上は云ったが、風俗に行った事も無いので違いが判らない。唯、凄い、と云うのだけは体験した。
まあ其処で、龍太郎の童貞は無くなったのだが。良く判らない、多分女、に上に乗られ終わった。座ってるだけ、十分位で終わった。
其れを聞いた課長は、御愁傷様、と又大笑いし、木島の目は哀れんでいた。
「風俗なあ。あれなぁ…」
「課長って、何気になんか凄いね。」
「だって此処、体育会系の巣窟だぞ?どんだけ酷かったと思ってるんだ、俺が新人の頃。」
今思い出しても自殺したい、とテンションが下がった。
此の課、強制的飲み会も無ければ、親睦会も忘新年会も無い。何故なら課長がしこたま嫌な思いをしたから。
体育会系の伝統、上からされたものは下にもしろ、が大嫌いで、一課を我が物にした時、全てを廃止した。
俺はワインが
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