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猫の憂鬱
第3章
―3―
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、御前の事大好きで。」
宗一の一言に胸が抉られた。
だけど御前は、俺を好きじゃないんだよな…。
何も云わず電話を切った課長はデスクに電話を放り投げ、背凭れに頭を乗せた。
「課長、本当に大丈夫ですか?」
龍太郎の吊り上がった目が視界に入り、鼻腔に珈琲の甘い匂いを知った。
煙草一つでも、臭いが違うんだ。
木島の咥える煙草を摘んだ課長は其の儘一口吸い、肺の奥迄ゆっくり入れると、変な味…、と吐き出し、舌の痺れを珈琲で溶かした。
「ハイライトが良い。」
「ハイライト?買って来ましょうか?」
「馬っ鹿、違ぇよ、龍太。」
「え?ハイライトって云わなかったか?」
「違う違う。」
井上は手を振り、ハイライトは三課の課長さんが吸ってんじゃん、と一体何処で入手した情報か、龍太郎に教えた。
ハイライト…?其れって…。
紫煙越しに見える木島の目に、課長は立てた人差し指を唇に寄せた。
課長の機嫌が良い時は、決まって空が青い。ハイライトのパッケージのような、そんな青さ。
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