暁 〜小説投稿サイト〜
猫の憂鬱
第3章
―1―
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
悪業が。
パスポートも偽装では無く、密入国及び不法滞在で無かったのが、本当に救いだった。此れで偽装パスポートでの入国、オーバーステイなら洒落にならなかった、課長とて放置しただろう。
十七歳の少女が、何故態々日本の地でそんな窃盗という悪業を繰り返すのか。
本国…中国に還そうと思ったのだが、あの国に帰る位なら死んだ方がマシだ、あんな生活二度と御免だと、首にナイフを突き付け、狂言では無く本気で?っ捌く勢いだった。
此れを放っておける課長では無い。面倒見が良いのだ。
美麗に日本国籍を与える為、最初は本当に課長が婚姻関係を結び、取得させようとしたのだが、美麗がまあ生意気で、其処が課長には可愛くて堪らないのだが、美麗が嫌がるなら仕方がない、パートナーの宗廣と結婚させた。
二十歳も年が離れる、誰が如何見て国籍取得の為の結婚にあっさり従う宗廣も宗廣でおかしい。其れで貴方の気が済むなら戸籍の一つ位貸しますよ、どうせ私バツイチですし、とあっさりだった。
婚姻に依って国籍を取得する場合、三年以上の婚姻関係と三年以上の滞在で帰化を認められるのだが、此の審査条件に“善良な素行”が入っている。
善良な、素行…。
不安ではあるが、此の五年、警察の世話にはなって居ないので大丈夫……かも知れない。
税金だってきちんと払っている、課長が。宗廣美麗名義の口座に金を置き、其処から全て引き落としている。勿論、美麗が引き出せないように通帳もカードも銀行の貸金庫に入っている。
其処迄して貰っているのに、結婚するなら大ちゃんが良い、なので美麗の性格も窺えるし、課長も救われない。宗廣は名前を貸しただけで、美麗の生活を見るのは課長、何一つしていないのだ。
尚、中国に於いての結婚年齢は女子二十歳なので、三年半経ったら日本国籍を取得し離婚する、と双方で決めている、なので此の婚姻関係も後一年あるかないかである。
こう見ると課長が不憫でならないが、本人は至極満足している。秀一にもセグウェイを買い与えたりと、根がパトロン気質なのだ、課長は。
仕方がない、課長はリッチなのだ。とんでもなく金持ちなのだ。
脚長おじさんなのだ。
「課長って、バイなの?」
木島の疑問は最もで、女にはかなり持てるのだが完全なるゲイだと周りは思っていた。
「バイ、では無い。女と寝れん事も無いが、好きにはなれないから、ゲイだな。」
「我と一緒。」
「なー。」
美麗の肩に腕を流し、頭同士をくっ付けた。
「俺、女の子が大好きなんだよ。特に一桁。一桁の少女は良いぞ、可愛い。」
「…バイじゃん!」
「恋愛感情でじゃなくて、愛でる対象で好きなんだ。少女は美しい、気高くて、危なかっしくて、生意気で、其れで居て強い。女に興味は無い、少女が、好きなんだ。」
格好良く自論を展開したが、詰まりロリコン…変態だろう?

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ