第3章
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侮蔑する視線に、違う、東条まどかの時に会ったの、と決してそんな如何わしい店に出入りして居る訳ではない、と弁解した。
そう云えば二ヶ月前、科捜研と関わる事になった事件で、木島は女装していた筈。其の潜入先が、確かレズビアンバーだった。
此れが其の主人かとまじまじ見た龍太郎は、真横に居る井上の食い付きっぷりに愕然とした。
「うわあ、やべぇ、むっちゃ好みなんだけど。何其の猛獣みたいな態度、良いね!ピューマみたいだ!俺、ネコ科の女大好き!」
「食い付き過ぎだ、拓也。」
「御名前教えてぇ!フェイスブックしてる!?」
検索するから、とアクリル板にへばり付いた。
「王 美麗…、日本名は宗廣美麗。ミレイで良い。課長がそう呼ぶから。」
アクリル板越しに女…美麗は顔を寄せ、噛み付く仕草をした。
「漢字、漢字は!」
「フェイスブックはして無い、後彼女持ちだ。」
「がーん。何で良い女は皆ゲイで女持ちなんだ。」
「ムネヒロ…?」
美麗の言葉に龍太郎は反応した。
宗廣という此の苗字、三課課長…課長のパートナーの名前なのだ。
「そ、俺の娘でもある。なー、美麗。可愛いな、今日も。」
「そうだね、パパ。」
「あの、如何云う事なんですか?」
「此奴、彼奴と結婚してるんだよ。」
課長と其のパートナーが同棲だけで養子縁組して居ないのは知っていた、娘、と云うのだから三課課長…宗廣と養子縁組を組んで居るのだと思ったら、其れを飛び抜けていた。
「は…?」
「最初は俺が結婚してやろうと思ったんだよ、けど此奴が、絶対やだ、ダイちゃんの方が良い、って云ったから、大智と結婚させた。生意気な。」
「関わりたくないんだもん!」
「ほぉ、パパにそんな事云うか。誰が御前の面倒見てると思ってる。」
「パパでぇす…」
左右から美麗の顔を潰し、肉厚な唇を美麗の鼻に押し付けた。
一九二センチの課長の肩に頭が来ている、ヒールと合わせ見たとしても、此の美麗という女、相当身長がある。一七〇センチはあるだろう。
ゴテゴテに化粧される美麗の顔面を舐める課長は、猛獣を愛でるムツゴロウ氏みたいであり、課長が其処迄誰かに対し無防備になる事を見た事ない龍太郎達は、正直、美麗に同情した。
愛情表現にしても、猫じゃないのだから、舐めなくとも良いだろう。
「昔は可愛かったのにな。」
「今は美しいんだ。」
「…如何かな。」
「課長!如何したらこんな美人と知り合いになれるんですか!ゲイになれば良いんですか!」
だったらなります、と井上の食い付きっぷりは尋常では無く、井上の趣味は良く判らんと全員思った。
課長と美麗が知り合ったのは五年前、美麗が十七の時で、其の出会いが、課長のバイクを転売目的で盗んだのだった。
調べたら出てくるわ出てくるわ
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