第2章
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るんですか?」
「死んでるよ、八年前に。」
だから筆を折り、日本に帰国したと時一は説明した。
「死因は?病気ですか?」
時一は視線を逸らし、ショックだからもう何もしたくない、と自分の席に座った。
*****
「何で病んでるんや、此奴。」
世谷署から戻った宗一は、此の世の終わりのように落ち込む時一を見、侑徒に聞いた。
「離婚されたか。」
「冗談でしょう、珠子さんと僕は仲が良いんです!」
「じゃ、珠子が浮気したか。」
「そんな事する女性じゃない!」
「じゃ、恵御が又病んだか。今度はどっちや、食べへんの。」
「其の事には触れないで…」
時一の娘、恵御は少し困った事に、三年前に摂食障害を発症している。治っている、と時一は断言するが、二三日前娘と会話した時、食べるのって面倒ね、ファーティ、と時一を戦慄させる一言を呟いた。
君は太ってないよ、何かあった?と聞くと、食べる時間が勿体無いの、勉強が追い付かないの、と時一を安心させた。授業内容に付いて行く為勉強せねばならず、其の為、食事をする時でも教科書を開いていたら、母親…妻の珠子から、食事に集中しなさい、と云われ、食事メンドクセ、になった。
――進学クラスになんて行くんじゃなかった!ねぇファーティ、何で食べるの?何でお腹が空くの!?
――頭を使うと余計に糖分を欲するんだよ。飴でも舐めてたら?…あ、違う、今のは聞かなかった事にして。
君は其の儘食べなくなる可能性高いから、と云う前に、パパナイス、と食べません宣言をした。
然しまあ此れでも改善した。昔は飴玉食べさすにも無理矢理に口を開け、放り込み、顎を固定するしかなかった。五百グラム増えたわと云っては時一に八つ当たりし、三十四キロの君が五百グラム増えた所で何の問題も無いから、寧ろ後五キロ増えても問題無いよ、と必死に宥めた。
――私なんて四十五キロよ、如何したら良いの。
――ムッティは細いの!
――如何見たって君の方が細いよ…
そんな状態の娘だったが、好きな男の子に、御前細過ぎてキモイ、何其れ、頭でかくて目もでかくて手足細くて…御前グレイ?、後十キロ太ったら付き合ってあげる、細い女の子好きじゃないから、と云われ、どれ程其の男の子に時一は感謝したか。然し何故か四十キロ台になった筈なのに、付き合って貰えなかった。其の男の子は違う女の子と付き合って居た。
其の男の子と一緒のクラスになりたいから進学クラスに行ったのに。
――あんまりよ、ファーティ…、酷過ぎる…、勉強も酷いわ…
――大丈夫、君は珠子さん似で可愛いから、男が放っておかないよ。
――じゃあ何で彼氏居ないの?私。私だけだよ、彼氏居ないの…
――作っちゃ駄目。絶対駄目!自分を大事にしなさい!
――ファーティ煩い。
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