第六話。リサ・アヴェ・デュ・アンクと二人の子供
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じっとしていた。
時計を見ると______時刻は、もう午前零時になろうとしていた。
「ああ、そろそろ寝る時間なのかな?」
「あ、うん。そうなんだけど……」
「ん?」
先ほどまでの元気な姿から一転し、タッくんは歯切れがわるそうにしていた。
「うー……」
見ると、ミーちゃんも何か言いたげな様子で音央にしがみついている。
「ま、しかたないよな」
「うん、そうだね」
タッくんがそう呟くと、ミーちゃんも渋々音央から離れる。
「そろそろ帰らないといけない時間なのね」
どこか寂しそうに音央がそう言うと。
「音央ちゃん」
「ん?」
ミーちゃんが音央の手をぎゅっと、一度強く握った。
そして……。
「食べられないでね?」
そんな不吉な言葉を呟いた。
「……え?」
「コラッ! いくぞ??」
ミーちゃんの言葉を叱るように、タッくんが声を荒げた。
「じゃあな、モンジ!」
「コラ。モンジお兄さん、だ!」
「わははは、じゃあ、生きてたらまたな!」
「……は?」
「だめ、なんでしょ」
ミーちゃんがタッくんに何やら注意している。
何やら良いあった後、タッくんはミーちゃんの手を引いて、部屋を出ていった。
2人が去っていく後ろ姿を見ながら音央が呟いた。
「食べられないで……って?」
音央はミーちゃんに握られていた手を見つめた後で俺を見た。
「あんたにかしら?」
「ははっ、流石にこんな時にそういうことはしないよ。
そんな深い意味はないんじゃないかな?」
「……そうよねぇ」
そう言ったものの、なんでだろう。
騒ついた感覚がするな。
この、ぞわぞわするような落ち着かない気分には……。
覚えがあった。
『食べられる』と言えば……そう、キリカだ。
あの時に感じた、ヒリつくような恐怖がじわじわと胸に広がっている。
______どういう意味なのかは解らない。
……だけど、危険が迫っているという予感めいた感覚を俺は感じた。
「一之江と合流しておこう」
「う、うん、そうね」
音央も不安になっているようだ。
ミーちゃんとタッくんの言葉。
あれは「言っちゃいけない言葉を言っちゃた」みたいに思えた。
詞乃ちゃんや村人達との会話、そしてタッくんやミーちゃんの言葉。
遊んでいたから忘れかけていたが、ここは『8番目のセカイ』に載っている『人喰い村』なんだ。
警戒心を持っても損はないな。
「音央、それじゃ」
出るぞ、と言いかけた時だった。
フッ
と、いきなり部屋の明かりが消えて、真っ暗になった。
そして……。
ザザザザザザザザザザッ??
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