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猫の憂鬱
第2章
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に依り、房室ブロック、頸脈、心室頸拍、凡ゆる場所で不正脈が起きる。そして此の場合。」
書く場所が無い、と身体を引き、もう消すよ、ええな、誰かにノート見せて貰え、とイレーザーを動かした。
「宗、此処は大学じゃない。ナトリウムチャネルなんて、誰一人判ってないぞ。其処の能面もポカンとしてる。」
「…そうなぁ、完全に講義してる気やった…、済まん。ナトリウムチャネルて判る…?」
実は全く誰も判って居らず、適当に聞き流して居た。
「神経細胞の事をナトリウムチャネルて云うのん。」
へえ、と全員ノートにメモをした。
「あー、メンドクサ。橘何処や。助手何処行った。俺の可愛い助手ちゃん何処や。」
「橘さんは最初から来てませんけど、先生ぇ。ラボで時一さんとお茶してますわ。天気がほんにええ事で、とか平安貴族みたく。雨やけど。」
「やっぱ連れて来るべきやった、用語使わんと説明すんのがこんな面倒とか知らんかった。ええと、詰まりやな、ええと。…アコニチンは、心臓及び呼吸器官に強烈なダメージを与えます!…判った?」
判りました先生、と一同答え、俺何が云いたかったんやろ、と宗一は頭を整理した。
「そ。詰まり此の女は。」
よいしょ、と宗一は椅子に立ち、秀一からタイを受け取った。其れを首に巻き、腕を伸ばした。
「此の状態。…嗚呼くそ、ほんま橘欲しいな。此の状態でアコニチン中毒を体感してた。トリカブトを摂取た常態で吊るされ、中期症状の嘔吐で窒息し…」
派手に椅子を倒した宗一は床に座り込み、此れが吊るされた状態、と説明した。
「本来なら此処で、胃の物が反動で逆流し、口や鼻から出て来る。頸部を圧迫する事で顔面は膨張し、本来なら流動する体液が、穴という穴から出て来る。眼球も飛び出すやろ。因みに下から出て来るのは、筋肉の弛緩や。頸部を圧迫する事で脳に酸素が行かず、(ここ)が死ぬ。そして指令が来なくなった筋肉は、解放される。首を締めて死ぬて、確かに窒息なんやけど、一番最初にダメージ受けるんが此処なんよ、兎に角此処なんよ。脳に酸素が行かんと人間は死ぬ、息をするにも此処から指令が無いと出来ん、心臓動かすんも此処や。」
トップが死ねば、全てが崩壊する。
課長が死んだら皆乱痴気騒ぎ起こすだろう?特に猫目の坊や、と例えを出したら課長に蹴られた。
「なんでか知らん、此の女はトリカブト食べさせられて、吊るされとる。拷問やな。アコニチンはキングオブ猛毒や、猛毒の中の猛毒や、猛毒界四天王の一人や、吃驚する位の猛毒や、其処迄毒持たんでも宜しやん、て位の猛毒や、猛毒警視総監や。尋常やない嫌悪感を全身に感じる。其れを知り乍ら、首に巻き付くネクタイの恐怖。全身痺れとるから自分で外せんのや。中毒症状で競り上がった胃の物が、顎を引いている事で気道に詰まる。呼吸困難に陥り、脳に酸素が行かなくなる。結果
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