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猫の憂鬱
第2章
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より早くて自転車より遅いウィーーンってヤツ、と其のメカ(?)のキャッチコピーを云ったのでセグウェイだと判明した。
あっさり買った課長に、あらリッチなのね、と宗一が嫌味云うと、年収五千万オーバーの外科医に云われたくない、もう違うもーん貧乏やもーん、と喧嘩を始めた。
因みに宗一、其の年収を捨て、年収一千万も無い科捜研に応募した秀一以上の変人である。
まさか受かるとは思わなかったのだ、宗一自身も。
貴方が医学界から居なくなる?冗談じゃない、死者を増やす気かと散々云われたが、受かってしまっては仕方がない。警視庁側も警視庁側で、なんかとんでもない神様って呼ばれる外科医が受かっちゃったんだけど、此れ医者側から、神様取ったとかで告訴されないよね?と混乱した。なので、せめせ、嗚呼せめてもの償い、此のような事で許されるか判らないが、科捜研のメンバーを貴方が選んで良いと提示した。
病院を歩けば、先生先生と医者と患者が群がり、大学を歩けば、教壇に立てば、神様見たと生徒が失神し、患者も患者で、先生に執刀して頂けるとはもう死んで良いと本末転倒な事を云う。
其処迄凄い医者なのである、菅原宗一と云う外科医は。そして、変人である。
そんな男を顎で使うのが課長。
そんな課長に誰が反抗出来るか、秀一ですら無理なのだ。セグウェイも買って貰った事だし。
「まあ、此処通路狭いし邪魔ではあるな。」
「和臣轢けるのにね、課長さん。」
「轢くな!」
「残念だな。」
覚醒した木島に気付いた課長は、木島の身体からガムテープを外し、木島を轢くのは又今度にしよう、と課長は其の儘ホワイトボードを引き寄せた。
何も秀一、無意味に此処に居る訳では無い。妻の胃の中から出て来た結果を報告する為、宗一と一緒に来た。
妻の遺体を確認し終わった宗一がパソコン片手に現れ、其の目付きの鋭さに皆唖然とした。
宗一の目はゴールデンレトリーバーを彷彿させる優しい垂れ目で、此処迄鋭いものでは無い。此の儘メスを振り回し、辺り一面血の海にしても違和感無い、龍太郎そっくりの目付きであった。
「此処て、煙草吸ってええの?」
「おい垂れ目、あの貼り紙が見えんか?老眼が進行したか。」
室内禁煙、と書かれた張り紙を指す課長だが、目の前の木島も井上も、龍太郎も煙草を持って居た。
「本郷、此処って禁煙らしいよ。」
「知らなかった…、拓也、知ってたか?」
「コンタクト付けてる筈なのに何も見えねぇな。うわ、目の前に家鴨口でボブカットの邪悪な男が居る。やだ、怖い龍太。」
「恐ろしい。屹度修羅だ。見るんじゃない。」
「おやまあ嫌だ、此方を見ないで頂きたい、木島さん。ワタクシのスーツを汚すだけでは無く、心迄も汚すおつもりですか。なんと、野蛮な。全く全く。」
先刻木島に珈琲吹き掛けられ汚れたジャケットを触り、忌々しい目で
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