第2章
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思い出したのだ。
「右利き…」
宗一の声に、やっぱ?と八雲は聞いた。
「不自然やな。」
「よなぁ。」
「右利きだとしたら、ネクタイの結び目が逆だ。」
パソコン画面にタイの写真を写し、拡大して凝視した。八雲は便箋を眺め、跳ね方が違う、と云った。
「本人が見ても自分の字やと思う程精巧や。けぇど。」
俺の目は誤魔化せない。
頬を盛り上がらせ八雲は笑い、便箋を鼻に付けるとゆっくりと引き上げた。
便箋が抜けた後に見えた虎の目、狩りを始める前とでも云おうか、興奮と楽しみが混ざった色をしていた。
「先生。」
興味の無い事にはとことん無頓着なのは何も八雲だけでは無い、秀一も又同じ性格で、蛇の其の目は鋭く、黒目を萎縮する程興奮していた。
「胃の消化物。とんでもない物が出ましたよ。」
一枚の植物の画像、見た宗一はヨモギ?と聞いた。
蛇の口角が吊り上がる。
ヨモギに姿形が酷似した猛毒。
「そ、トリカブトです。トリカブトのデータが分析に出ました。」
分析結果を見た宗一は、何故こんなにも死亡推定時刻に開きがあるのかパソコンを動かし、監察医の結果を何度も見た。
「やっぱり、そうや…。」
導き出た答えに宗一はキーボードの上で手を握り、此の犯人の残酷さを直視した。
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