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猫の憂鬱
第2章
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た…。そっから、人生諦めたなぁ…」
離婚出来ないのなら逸そ死んでしまおうか、そう何度も考えた。
「其れなのに何?なんで?何でわいが悪いの?わい、加害者やろ!?誰が結婚する言うた?御前等が勝手に進めたんとちゃうんか?此れってあんまりやろ。」
「何があったんだよ。」
八雲の興奮加減に井上は一旦立ち上がり、珈琲の入るカップを三つテーブルに置いた。
「行政から警告受けたんよ。」
「何の?」
「ドメスティックヴァイオレンス。」
「は…?」
「何で!?わしが何をした!言うてみぃ!」
「言うてみぃ、って云われても…」
「嫌いな人間に冷たく当たって何が悪いん!?存在を否定して何が悪いねん!ほんなら聞くけど、御宅等ゴキブリ愛でますか?蛆虫ペットにしますか?そう言う事やろ?唯其れが人間の形しとるだっきゃないか、違うか?」
状況は良く判った。
八雲は其の妻と結婚する気は無く、無い、と云うか、八雲が云うには付き合っても居なかった、唯の幼馴染で、勝手に妻側が籍を入れたか周りを固めたかで、八雲の逃げ道を塞いだ。そんな状態で一緒に居れば八雲の精神状態が悪くなるのは当然で、被害が妻に及んだ。其れを近所の住人か何かが行政に通報し…と云う、幼児虐待の流れと似ているだろう。
「奥さん、如何なってるんだ?今。」
龍太郎は聞いた。
八雲は煙草を消すと珈琲を一口飲み、家に居てるよ、とうんざりした。
「二度と出てくんなぁ言うたのに…、何で出て来んねん…」
「何処から…?」
「精神病院。」
龍太郎は額を押さえ、井上は引き攣った顔で他所を向いた。
「大変だな…」
「彼奴、ほんま死なんかな。離婚出来んのなら、死んでくれ。帰ったら死んでないかな、て毎日思ってるんやんけど、何ぁ故か、笑顔で玄関先に出て来んねん…、何時死ぬねん、如何やったら死ぬねん、彼奴が死なんのなら誰かわいを殺してくれ。彼奴の所為でわい、女と別れたんぞ。結婚する筈やったのに。」
彼奴が目の前に現れなかったら、俺は幸せな結婚生活をしてたのに…。
何時結婚したかは知らないが、相当妻に対して怒りがあると見える。
八雲の愚痴は止まらず、テーブルに灰を散らし喚く。自分達に云われても困るが、口が挟めず聞くしかない。結局何が云いたいのか判らないが、一度口を開くと閉じないのだけはしっかり判った。
「なんで彼奴は、わいに執着するんやろ。わい以外にも男一杯居てるでしょ、世の中。」
なあ、よぅ言うわな。男も女も星の数程あるて。でもな。
「月は、一つしかないねん。せやろ?愛する女は、月やろ?太陽は、自分やろ?なんでわいは、其の月を、輝かす事も出来へんの?如何やったら、其のお月さんに、綺麗ですね、て云えるの?月が綺麗なんは、太陽があるからやろ?」
八雲の言葉に井上は頻りに顔を触り、息苦しさ迄覚え始めた。
何だ、此
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