七話
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沈んでいたチームラビッツを迎え入れたのは、緑色の作業着を着た黒髪の、陽気そうな雰囲気の女性だった。
女性の目の前にはグラスがあり、その中身は酒だ。
だが、迎えてくれた女性の雰囲気と裏腹に、チームラビッツは陰気な表情を浮かべるばかりだった。
「でも……通信衛星が……。僕達、何もできませんでした……」
と、珍しく沈んだ様子のイズルが言う。
今回の任務は完全に遭遇戦。いや、ゲリラ戦と呼ぶべき状況だったので、むしろ装備が整ってない状態で全員生き残れたことを喜ぶべきなのだ。
「ピットの人間はね」
作業着を着た女性は、酒の匂いを放ちながらイズルに近づくと、肩をポンと叩く。
「機体が壊れて戻ってくるより、人間が壊れる方が堪えるのよ」
まぁ、もうちょっと機体も可愛がってあげてほしいけど。と、作業着姿の女性は、冗談めかした様子で付け加えた。
「あの≪アッシュ≫達には、あなた達のDNAが組み込まれている。謂わばもう「一人の自分」なのよ」
そう言って女性は、イズルの頭を撫でると
「西園寺 レイカ。整備長よ。皆は「おやっさん」って呼ぶケド」
ウィンクを加えて、イタズラ好きな子どものような表情で名乗った。
「「おやっさん」?」
「酒臭っ」
「酔っ払いら〜」
「今休憩中だも〜ん」
「じゃぁ、俺もなでなでしてください〜!」
作業着姿の女性――レイカと話していくうちにいつもの調子を取り戻したチームラビッツに、少しずつ笑みが戻っていく。
「西園寺整備長」
突如背後のドアが開くと、そこにはスズカゼが腰に手を当てて立っていた。
「お〜う。リンリン〜。後で飲まな〜い?」
「その名前で呼ばないで。それに、酒癖の悪い人とは飲みたくない」
「え〜?」
バッサリと切り捨てるスズカゼに、レイカが拗ねたように言う。
そんなレイカの反応にため息を吐くと
「お疲れ様。とりあえず休みなさい。何も気にしないで」
珍しいスズカゼの気遣うような言葉にイズル達は顔を上げると、その時には既に二人はラウンジから出ていた。
続く
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