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猫の憂鬱
第1章
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貴方は何処迄課長を憤慨させれば気が済むのか、憤死を望んで居るのか?と聞きたい。課長の目の前に科捜研のメンバーが全員並び、課長は必死にこめかみを親指で押さえている。
「井上…」
「はい…」
「頭が痛い…、憤死寸前な程頭が痛い!」
獅子の咆哮に井上は素早く立ち上がり、白湯と頭痛薬を素早く手元に置いた。頭痛薬を飲み込んだ課長は宗一に指を突き付け、其の手は怒りで震えていた。
「クラクラする…、怒りで頭がクラクラする…」
「大変やなぁ。」
「誰の所為だ!だ、れ、の!」
課長怒りも去る事乍ら、木島の怯え様も尋常を期していた。
化学担当長谷川秀一、一課の視線を誰よりも受ける変人。うぃーーーんとモーター音を響かせ、一課の室内を観察していた。口には何故かガムテープが貼られ、手首は手錠でセグウェイの持ち手に固定されている。
「其処のセグウェイの変人化学者は、何のプレイをしてるんだ?」
怒りに笑う事しか出来ない課長は宗一にそう聞き、あー、と其処は濁した。
宗一とて怖いのだ、課長の怒りは。だから秀一の口元にガムテープを貼っている。今此処であの調子外れのX JAPANを歌わせるにはいかないのだ。
うぃーーーんと近付くモーター音に木島は一層視線を逸らし、然し秀一は木島の顔を見ようと顔を近付ける。口元を隠している分、ギラギラと光る目が主張された。
「んふっふふ。」
「何…?」
喋っているのだろうが、上手く聞き取れない。
「菅原さん。」
「何や。」
「此れ、外しても大丈夫ですか?」
「あかん。課長が憤死してええならええよ。」
「今のは、久し振り、って云ったんですよ。」
時一の言葉添えに木島は納得し、会いたくなかった、と笑顔を向けた。
木島と秀一、実は同級生である。中高一貫であるから六年と時間で見れば長いのだが、同じクラスになったのは高校三年の最後だけである。
部活動も同じだった訳でも無い、友達でも無かった、会話も事務的な事しかない。此の学校出身の者は大体木島を記憶しているが、秀一は何方かと言うと根暗で、オタクで、所属する化学部員の者と位しか会話しない男である。
一際目立つ木島と一際目立たぬ秀一。
そんな秀一に二ヶ月前会った時、木島の方は秀一に気付かず、秀一の方から、御前和臣だろう、と木島の記憶を呼び出した。
秀一を思い出した木島は悲鳴撒き散らし逃げた。
此の秀一、大人しい生徒だったのだが、学校一危険で不気味な男だった。だから友達も居らず、同じ部員の者しか声を掛けなかった。
電気オタク…秀一は昔からそうだった。
常に電気を持ち歩き、下級生や生物に電気を流し、其の様を眺め楽しむという、極めて陰湿で悪質な性癖の持ち主だった。
そういう噂だけは聞いていた木島、他の生徒も、其の不気味な雰囲気に話し掛けはせず、又秀一自身も十代の思春期、青臭
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