暁 〜小説投稿サイト〜
猫の憂鬱
第1章
―2―
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
か。」
「旦那が落ち着いてたんは、娘がそんな状態やったから、ちゃうかな。動物皆そうやけど、飼い主が興奮すると一緒んなって興奮すんのよ。旦那は機転が良かったな。旦那は犬タイプやな。」
「犬タイプ?」
「犬て、わいが興味無いからかも知らんけど、馬鹿やんけ。せやから、自分で考えんと、命令されんの待ってんとちゃいますの。」
「犬を馬鹿にするなよ。馬鹿じゃない。」
「あんねぇ、課長はん。犬が賢いんは、主人が賢いからなんよ。阿保が犬飼ってみぃ、漏れなく阿保やぞ、犬も。猫は違う。主人があっぱらぱあでも賢いねん。わいの猫がそうやもの。」
えへへ、と八雲は笑い、大型犬を二匹飼う課長は、褒められたのか貶されたのか、複雑な感情を持った。
「犬、は、状況で自分の行動を考える。猫は、自分で状況を作んねん。自分を軸に世界を回すんよ。いやぁ、頭ええなぁ。で、旦那は、侭犬性格やな。娘が興奮してたから、落ち着く思考が出たんやな。お、わいなんか、心理学の先生ぇぽくない?」
「因みに斎藤。」
「何です?」
「一番煩い猫ってなんだ?」
八雲は一息置き、シャム猫、世界一気高い女王、そう答え電話を切った。
電話をジャケットの内ポケットに仕舞った課長はブラッシングを再開し、未だ突っ立つ龍太郎を見た。
「何見てんだ。」
「課長は猫なんですね。」
「え…?ネコ…?」
「斎藤さんが云ったじゃないですか、猫は、自分を軸に世界を回す、と。」
一礼した龍太郎は自分の席に座り、あ、そっちか、と誠安堵の息を漏らす課長に、木島(きじま)和臣(かずおみ)の笑い声が響いた。
「黙れ。」
「済みませんでした…」
ペンを投げ付けられた木島は大人しく謝罪した。
「木島は近々抹殺しよう。俺の事を知り過ぎた。」
「お、良いね。」
木島の向かいに座る井上が便乗した。
井上は、此の木島が嫌いで堪らない。
「止めてよ!」
「だったら、抹殺されんよう、その家鴨口、開くんじゃない。」
「誰かガムテープくれないか。課長に抹殺されてしまう。」
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ