第1章
―1―
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
興味を、刺激してしまった。
諦めた宗一は、八雲の横に席を構える秀一のリクライニングチェアーに座り、身体を斜めに足を組んだ。
「なぁにが聞きたいの、八雲ちゃん。」
一方は洒落た椅子、一方は粗末な椅子、一見すると一昔前の診察風景に見える。
「何教えてくれるんですかね?」
見開いているのに態と下瞼を持ち上げ、椅子に両手を乗せる八雲は肩を竦め乍ら小首傾げて宗一を見た。
「疑問は何なんだ?」
「世谷署一課の扱う分析は此処が見る……世谷署の鑑識班、怒ってたで?なぁんでそんな事するのぉ?先生ぇ程他人に興味無い人、居てないでショ。」
「御前に、他人に興味無い、云われたら終わりやな。」
はぐらかすように宗一はキリキリ笑い、然し八雲の目に笑いが消えた。
「だぁれに、肩入れしてんのぉ?」
「…おい、誰か助けてくれ。」
「課長さんだよ。」
うぃーーーんとモーター音が聞こえ、又うぃーーーんとセグウェイは去って行った。
「長谷川!」
ぎ、っとリクライニングが戻り、秀一を追うが、セグウェイは廊下端…エレベーターの中に居た。
半分閉まり掛けのドアー。
「戻って来なさい。」
「いーやでーす。」
「長谷川!戻って来なさい!」
「三十分で戻りますよぉ。」
「長谷川ぁあ!」
宗一が追い付くより早くエレベーターは下降を始め、宗一の怒りをまともに受けたドアーが大きく揺れた。
あーあ、怒らせた、と時一は暢気に云い、侑徒も室内に入った。
自分の席に宗一は座ったが、八雲の視線が気持ち悪い程絡み付く。
「こっち見るな、丸眼鏡!」
「八つ当たりカッコワルー。」
「センセ、大人んなりましょ?ね?」
一課が課長の機嫌を一番とするように、此処科捜研も、宗一の機嫌は絶対だった。
何時も宥めるのは侑徒である。
何時も怒らすのは秀一である。
「誰なん!こんな考古学者受からしたん!」
「あっあー、矛先ちゃいますよぉ。」
「もっと居ったんと違う!?文書!」
そして被害を受けるのが八雲だった。
故に八雲、秀一が嫌いだった。
秀一が宗一を怒らせると必ず八雲が被害に遭い、侑徒がしなくて良い苦労を強いられる。
宗一を宥めるのも大変だが、八雲、此れが憤慨すると猛虎と化す。誰も手が付けられず、唯一云う事を聞く宗一の言葉も届かない。
秀一と八雲の喧嘩は凄まじく、関西弁で怒鳴り立てる八雲を挑発するが如く秀一はへらへら笑い乍ら口を開く。八雲が手を出そうものなら、エレ・キ・テルー!と絶叫し、改良した電気の流れるペン…ショックペンを白衣のポケットから取り出し、身長差を利用し、声帯にペン尻を突き刺す。
八雲と秀一の身長差は十五センチ程で、秀一の視線先が丁度首元、目掛け易いのだ。電流を受けた八雲は苦痛の咆哮を撒き散らし、此れが本当に虎に見える。
秀一が首、顎、八雲に至っては
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ