第2章
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。彼女は過度の露出をしなくても充分我々の目に届く、そんなに見たいならYouTubeでも見てろ、と。
カントリーシンガーと云ったらラフでカジュアルな格好を想像するが、女は常に漆黒、シスターの様な装いに裸足でアコースティックギターを弾き乍ら淡々と美しい歌声を乗せる。
女の信者は、オーロラ姫、と女を呼ぶ。
勿論、スリーピング ビューティーから来ている。其の姫も、又裸足だ。
死者は全員で十二人、此れが妖精に例えられ、女の美貌と歌声でそう呼ばれる様になった。十三人目の呼ばれなかった妖精…最悪の魔法を掛けたとした妖精は、女が大嫌いなサンタだった。
紡ぎ針、指を刺すだけ、目覚める眠り、眠れる王女は真実の愛で再び時が動き出す…。
信者は物語通り、女が十六歳の誕生日の日没を迎える迄に死ぬと考えて居たが、女は今十七歳である、詰まり、真実の愛を知ってしまったのだ。
拓也と云う、漆黒の愛を。
毎回CDジャケットに桜木を写すのは、此の王女を纏うのは荊では無く、桜の花弁であると云う事。
女の見せる世界は正にオーロラの神秘的世界で、桜の美しさだった。
又海外からも沢山のコメントが送られる。
アメージング、こんな美しい歌声聞いた事が無い。
彼女は妖精か?
彼女程美しい女性他には居ない。
僕が見て来た中で一番に美しい女性だと云える。
此の美貌に此の歌声は反則だ、正に彼女は現代のオーロラ姫だと云える。
サクラとオーロラの美しさが今俺の中で爆発してる。
フィリップに立候補する。
……全世界の王子達が噂を聞き付け、女の虜になった。
十六歳を迎えた女に全員絶望したのは云う迄も無いだろう。
止まった歌声に拓也は、漆黒の目に星を反映した。踵を返した拓也の後ろを女は付いて行き、トランクにギターを乗せると助手席に座った。
「真冬にガブリオって如何なのよ。」
寒いから屋根閉めてよ、と云う女の言葉等聞かず拓也は車を走らせた。
其処から三十分程で車は停まり、時間は十時を回っていた。
教会から聞こえる歌と音楽、拓也達は横にある建物に入った。エレベーターで屋上迄上がり、人影を見付けた拓也は一礼した。
「お見えになったようですよ。」
黒い影は動き、墓石にそう囁くと入れ替わるようにエレベーターに乗った。
教会の横のある建物、其れは納骨堂で、七年前から足を運ぶようになった。二年前から女も拓也に同行するようになった。
「相変わらず寒いね、此処は。」
拓也は云い、墓にマフラーを巻くとしゃがんだ。
「マミィ、久し振り、元気してた?」
女も拓也と同じにしゃがみ、膝を抱えた。黒い毛皮を着ている為、遠目で見たら馬鹿でかい真っ黒クロスケだろう。或いは馬鹿でかい毛玉。
女が十六歳の日没迄に眠らなかった理由、真実の愛、煙草に火を点けた拓也の肩に女は頭を乗せた。
此の二人、実は
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