第2章
―――3―
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ら子供もおっとりし、何処か抜けてる母親だったら子供も何処か抜けている、仏頂面の母親なら子供も又眉間に皺を寄せている、ヒステリックな母親なら子供も同じになる、最悪なのが暴力、母親が暴力や暴言を日常的に乱用すると子供も同じ事をする。
其れと、会話。
菅原の知る内で、面白い親子が居る。
其の子供は当時三歳だったのだが言葉を中々覚えず、菅原も小児科医も、喋らない可能性がかなり高い、と診断した。聴覚も声帯も全て健全だが何故か言葉を覚えない。菅原や他の医者や看護師、スタッフが話し掛けると不思議そうな目で見た。
だから、気付いた。
母親が物凄い寡黙なのだ。
挨拶も、ほぼ口を動かして居るだけだと云って良い、菅原達が何かを聞いても首を傾げたり、夫が同席して居たら夫に喋らせたり、兎に角寡黙だった。普段何してるんですか?と聞いたら、本読んでます、此れだった。
母親が話し掛けないが為に、子供が言葉を知らないのだ。
話すのが嫌い或いは苦手なのかと聞いたら、タイミングが判らないだけです、と面白い事を云った。奥さん普段もあんなですか?と夫に聞いたら、そうですね、あんなです、母親と正反対ですね、と菅原の思考を刺激した。
此の母親、自分の母親が機関銃のように話すのでタイミングが判らず、母親が代弁をして来た、私の意見が娘の意見だと。夫が云うには此の母親、風邪を引いても一人で病院に行けない、美容院にも行けない……自分の考えを或いは真逆の考えを自分の母親が第三者に伝えて来た為、如何表現して良いか判らないらしいのだ。なので風邪を引いたら此の夫が症状を事細かく書いた紙を、医者に渡しなさい、と渡すのだ。
判り易く云ったら、此の母親は自分を客観視し過ぎており、こういう状況だと云われたから自分はこういう状況に今居るんだ、と全くの第三者の目で自分を見ている具合。
周りが用意周到な分、此の母親は言葉を発せず生きて来れた、其れが当たり前だったから。
だから子供にも、話し掛けない。一緒に遊んだりはするが、静かなのだ。本を読ませて下さい、と云っても膝に乗せ、頁を捲るだけ(本当に読ませて如何する)、玩具で遊ばせても無言で相手をする、子供が何か云っても、うん、としか答えない。
夫婦の会話は一体如何なってるのか、こっそり覗いてみたのだが、夫が何か云っても、うんうんと頷いてるだけだった。
御飯食べて帰る?――うん。
何処か寄る?――決めて良いよ。
此の映画見たいんだよな――うん、今度行こう――良いよ。
……最早会話ですら無い。
此の母親は無理だ、と思い、お父さんが頑張って話し掛けて下さい!としっかり頼んだ。
頼んだのが良かったのか、幼稚園に行き出したからなのかは知らないが、子供はあっさり喋るようになった。そしたら此の母親、なんで此の子ずっと喋ってるんですか?と云った…其れが最後の診断の会
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