第2章
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児童相談所がしつこいからってやつ。
――……有難う御座います、彼を寄越して下さい。
其れ程迄娘を心配していた、新幹線で来た如月を駅に迎えに云ったのだが、何故か上司迄同行していた。理由を聞くと立てないから。如月の目は虚ろで、上司が手を離すと理由通りすとんと地面に座り込んだ。
パパ…?
亜由美の声に如月は人目も憚らず泣き出し、亜由美の身体をしっかり抱き締めた。生きてんじゃん!と上司は云ったが、死んだ等一言も云った覚えは無い。寧ろ何だ、死んでいて貰いたかったのか。
上司は其の儘如月が今夜泊まるホテル等の手配をすると云い、終わったら連絡頂戴、と番号迄渡した。
娘の生存を確認して少し落ち着いたのか、如月は亜由美の手を握り木島の車に乗った。
そして署に着いたのが五時過ぎだ。
朝の八時から調べ始め九時間で目の前に如月が居る、中々に有能、課長に褒めて貰いたい所だ。
が、然し、母親の消息は判っていない。
如月は番号自体を知らず、知る町田は繋がらない、一ヶ月会ってない、としか云わない。
「知らん訳無かろう。」
「本当に知らねぇんだってば!いきなり連絡取れなくなって、マンションにも帰ってこねぇし、あの家にもいねぇんだよ!」
「マンションってなんだ。」
「俺達が住んでる場所だよ…」
「あの家は何で御前名義なんだ。」
「知らねぇよ!あの女の持ちモンじゃねぇのかよ!」
そう町田が云ったので家の権利証を見せた、名義は町田サトシ、そうなっている。
「は…?」
権利証を見た町田は訳が判らないと首を振った。
「因みにローンが半年未納だ。払えよ。」
「何で!?俺マジで知らねぇんだってば!大体常識で考えろよ!定職持ってねぇ俺がローン組める訳ねぇじゃん!車だってローン組めねぇんだぞ!?クレジットカードも持ってねぇよ!」
町田の言葉に、其れもそうか、と本郷達は納得したが、だったら話が繋がらない。
何故名義が町田なのか。
考えていると課長が、あ、そういう事か、と町田の書類を見乍ら云った。
「御前、愛されてるなぁ。」
「え?」
「契約者は確かに如月エリコ……母親だが、権利を此奴にしてる。自分が死んだら此奴にあの家が行くように。離婚出来ないから何かしら残したかったんだろ。然も、戸籍上の旦那は公務員、あの家は総額二千三百万、内一千三百万を契約時に現金で出してる。だから名義を此奴に出来たんだよ。其処迄したら不動産屋も名義位此奴にするさ。因みに残りは五百万一寸だ。聞くが、真由美は御前の娘だよな?」
「嗚呼…」
「な、ほら。此奴と真由美に何かしら残そうとしてたんだよ。でも、ローンが支払えなくなった。…如月エリコの職業ってなんだ?」
「え?知らねぇけど…」
「知らん訳無いだろう。」
「羽振りが良い女ってのは知ってるけど、良く判んねぇよ。」
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