第1章・一年前
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務外なんだよ!判るだろう、本郷!
――だったら何故、感情的になってるんです。本当は拓也の力が必要なんでしょう?御自分じゃ如何にも出来ないけれど、拓也には出来るの判ってらっしゃるから。
――……好きにしろ、もう知らん…!
木島への八つ当たりが再開され、其れを遠目に見ていると小児科医が、精神科の先生いらっしゃいました、と課長を呼び出した。
其処から一時間後、修羅の殺気を纏った課長が取調室から出、木島を含む刑事全員を凍り付かせた。
何が何でも住宅購入者と客を探せ、そして俺の前に引き摺り出せ、容疑は死体遺棄、児童買春、児童略取及び傷害だ、見付けられない無能は先三ヶ月無給奉仕だ。
課長の本気に、普段仕事してない方だなんて云って申し訳ありません、と木島達は普段の非礼を詫びたが、課長の怒りは治らなかった。
――児童福祉司の方ですか?
――え?はい。柳生です。
――精神科医の菅原と申します。其方の先生とも交えお話があるので宜しいですか?
物腰柔らかい菅原と云う精神科医に柳生は付いて行き、其の最中に拓也から連絡が着た。
――此の人、此の人凄い大事な人です!
――はあ、イヴですもんね。
――じゃなくて、井上さんが居たら物事すんなり運びますよ!此の人、施設とかのコネクションが凄いんです!子供の気持ちとか、本当何でも判るんです!神様か!って位!此の人に話したら良いですよ!
――貴女、児童福祉司ですよね…?曲がりなりにも…
――はい…、職務怠慢です…、公私混同です…
課長さんにも怒られました、と萎れる柳生に菅原は笑い、素直で可愛い方ですね、と拓也の到着を待つ事にした。
「有難う、課長、任せろ。」
拓也の言葉に全身から完全に緊張を抜いた課長は長机に突っ伏し、息を吐いた。
拓也の云った“有難う”は呼び出しの事ではなく、寝ずに子供達を足元で見守り、三歳児を起きる迄抱っこして居た事、食事等の待遇に対する感謝である。
課長の言葉を借りるなら、職務外。
課長は其れをした、拓也が来てくれると信じて。
「井上さぁああん!待ってましたぁああ!」
拓也を待って居たもう一人…柳生が課長の怒鳴り声が聞こえなくなった事に横の会議室から姿を現し、トレードマークのお団子を拓也の顎に激突させた。
「其の団子、何で出来てんだよ!いてぇよ!軽い凶器、鈍器だわ!」
「愛情です!」
「アンパンマンの顔みたいなもんか。」
後ろに居る菅原は拓也を見ると一瞬大きな目を開いたが、直ぐに温厚な笑顔を向けた。
「貴方が、井上さんですか?」
「そうだけど、御宅は?」
「精神科医の菅原です。お話があるので、宜しいですか?」
「あー、一寸待ってて貰える?節子、離れろよ、愛情がいてぇよ。」
「節子の愛情ですよ!要らないんですか!?」
「いてぇから
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