第1章・一年前
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警察に送られた子供達に今度は柳生等児童相談所の職員が呼び出され、状況を確認させた。一見で虐待だと云い、小児科医が子供達の身体を診た時、漸く最年長の少女が云った言葉と繋がった。
最年少の子以外全員、性交痕跡があり性病に掛かってます、子供の身体じゃないですね。最年長の十一歳の子は妊娠してます。全員早熟型で、八歳と九歳の子は初潮を迎えてますね。此の十歳の子は、掻爬した可能性が高いですが、僕は小児科医なので婦人科に診せて下さい。後、最年長の子が比較的状況が判ってるので、精神科医に任せます、一人呼びます。多分此の方が婦人科医も連れて来て下さると思います。
子供達は満腹感と暖かさにあっさり眠り、翌日の朝、起きた順に食事を与え、署にある簡易シャワーを使わせた。身体状況を見る為柳生達が時間を掛け洗った。
課長は寝ずに、全員が起きる迄会議室で子供達と一緒に居た。床に敷き詰めた布団に座る課長の足元に全員が集まって寝ていたのだ、最年少の子供はずっと抱っこをしていたが、苦痛はなかった。
如何したの?此処。
背中に大きな切り傷を見付けた柳生は聞いた、すると、良く判んない、おじちゃんが切ったの、と幼い口から出る単語に柳生の怒りと悲しみが湧き出た。気付いたら、頭からシャワーを被り、小さな身体を抱き締め泣いていた。
――お姉ちゃん如何したの?
――御免ね、御免ね…、早く見付けてあげられなくて、御免ね…
少女は首を傾げ、あったかいね、と又無邪気に笑った。
八時に出勤して来た木島が、此処って小学校か何かになったの?と暢気に云ったもんだから課長のやり場のない怒りが爆発した。
訳が判らず八つ当たりをされ(課長の日課だが)、本郷を呼び出せ、と云われたので呼び出したのだが、本郷に迄嫌味を云われた。
其の間柳生はずっと非番だと聞かされた拓也の電話を鳴らして居たが、時期が悪い、と課長に止められた。
――何故です…?井上さんが此の状況に黙ってる訳ないじゃないですか!
――だからだよ!
――だったら…
――井上は一課の刑事だ、生活安全課の刑事じゃない!公私混同するな!児童虐待は生活安全課の仕事で、死亡確認で俺達一課が動くんだ!其れで相手をするのは子供じゃない、親だ。判るか?俺達一課の仕事は、親を傷害、殺人、未遂で送検する事であり、子供の状態を見るのは生活安全課だ。井上は職務外を善意でやってるんだ、意味、判るよな?俺達が今動いてるのは、赤ん坊の死体が出たからだ。
課長の目に柳生は黙ったが、恨まれますよ、と本郷が吐いた。
――其処迄課長判ってますよね、課長の気持ちも判りますが、今呼び出さなかったら、井上に恨まれますよ、貴方。何で黙ってた、とね。
――恨まれても、良いさ…。井上だから、こんな日に見せたくないんだよ!扱い内容なら呼び出すさ!職
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