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僕の周りには変わり種が多い
横浜騒乱編
第26話 治療の魔法の真実
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輩の重体におちいった怪我の苦痛を味わうなんて、忍術使いの対拷問訓練でもしていないと無理だろうと、この部分まではひとごとのように考えていた。

「肉体を解した情報ではなく『精神』に直接刻み込まれるのです」

ここで「『精神』に直接刻み込まれる」ときいて、初めてとんでもないことだと気付かされた。精神で苦痛を読み込む。自分の感覚はコントロール可能であっても、他人の感覚を直接精神に刻み込まれてしまう。

この時点での想像はまだ甘かった。

「しかもそれが、一瞬に凝縮されてやってきます。例えば……今回、五十里先輩が負傷されてからお兄様が魔法を使われるまで約40秒の時間が経過していました。それに対して、お兄様がエイドスの変更履歴を読み出すのに掛けられた時間はおよそ0.2秒。この刹那の時間に、お兄様は五十里先輩が味わられた痛みを200倍に凝縮した苦痛を経験しているのです」

具体的に200倍と聞いたところで、多分、僕の顔は真っ青になっていただろう。
精神に直接刻み込まれる200倍の痛み。自身のプシオンのひずみをノイズとして感じてしまう僕が、それを精神にたたきこまれたら、多分、苦痛をのがそうとして自由にできるプシオンが一瞬で離れていき、さらにコアとなるプシオンが削れ、さらに全て破損してしまう。
つまり精神的な死、そしてプシオンにつながっている魂とも切れて離れていく本当の死をむかえるだろう。それは深雪も学校の教育用CADをノイズと言い切った深雪も同じだから、兄である達也の精神の負荷を過剰に感じているのかもしれない。そこまで思い至って、とまっていた呼吸の再開とともに、冷や汗をかいているのをようやく感じた。

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