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Holly Night
第1章・一年前
―4―
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ァナさえ逮捕だぞ?」
本郷の疑問に、だからだよ、とサンタを横にテーブル席のソファに座った。
だからそんなに愛情を注ぐから年々大きくなるのだろう。
「イングランドに居たら絶対薬から離れられないもん。バーのトイレは快楽の宝庫だもん、ドラッグとセックスね。絶対に俺は其の何方からも抜けられない。判ってるから日本に来たんだ。幾らリハブ(=薬物更生施設)に行ったって、俺には無意味だった、出たら速攻しちゃうんだから、セックスと一緒にね。だから日本に逃げて来た。此処で本当に人間に戻らないと、人生が本当に終わる。」
若気の至り…其れで笑って済むならどれ程良かったか。笑えない所迄落ちた、後はもう、這い上がるしかなかった。三十になる前に何としてでも平凡な生活に戻らなければ、先は見えている。
サンタをじっと見詰るヘンリーは薄く口元に笑みを浮かべ、太腿を叩き立ち上がった。
「早い所飾り付けしちゃお、俺、クリスマス大嫌いだけど。」
何故?と本郷が首を傾げると、勝手にカウンター内の冷蔵庫からビール瓶を出し飲んでいた拓也が笑った。
「イヴに捕まってんだよ。」
「最悪だよ、碌な思い出しかない。」
拓也からビールを受け取ったヘンリーは一口飲み、緑色の目で純白のマリア像を睨め付けた。
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