第1章・一年前
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も、だけどあんた、慶応行きたいんでしょうが。其れとも、イギリスに居るパパんトコが良いか?
――何で、知ってんの…?
――問題起こしたら即父親んトコに行くんだろ。大嫌いなパパの所にね。
――何で…!
――イギリスね、良いよ、あの国は。とことん悪くなれる。
良くも此処迄邪悪に笑えるものだなと拓也は諦め、女の飲み干すビールの音を何処かで聞いた。
お好きにどうぞ、お姉様。
鼻に抜けた女の匂いに拓也は矢鱈濁った目を散らし、目の前で笑う女の顔をきちんと見た。
「初めてホテル連れてかれた時の事思い出した。」
其の日を境に拓也は女の奴隷として徹底した。十年も昔の事なのにはっきりと思い出せる。
ワンピースの色、靴の色、鞄の色、車の色…何より鮮やかに残るのは女の艶。
「私を捨てたら駄目よ、拓也。」
「ええ、判ってます、お姉様。」
一体俺を呪縛するものは何なのだろうか、其れが愛だと云うのだろうか。
拓也は未だに判らない。
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