第1章・一年前
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れねぇ、誰かを引導するって立場かも知れねぇ、でもな?彼奴は其れをずっとして来たんだ、親の愛情欲しさにな。言う事聞くさそら、親の命令にずっと従ってたんだから。其れで唯一の愛情を確認してんだからよ。其れが怠慢だっつってんだよ、判んねぇかな。あら言う事聞くわー、で、全部彼奴に下の統率任せてるだろうが。其れじゃ何にもなんねぇんだよ、同じ事の繰り返しだろうが。良いか彼奴はな、親の命令を全て聞いて下の兄弟を命令通りに虐待してたんだよ、親の愛情を欲しいが為にな。御前等は其れを彼奴に未だ強要するのか?年が多いから何だよ、彼奴は未だ十歳にも満たない精神年齢なんだよ。其れ判って云ってんのか?嗚呼もう良い、彼奴は違う場所に住まわせるわ。聞くか、自分を呪えよ。」
横で聞いて居た本郷は、良く噛みもせずに早口で云えるな、と関心し、続いて、本郷が普段知るゆったりした口調が聞こえた。
「なんかあった?先生達慌ててんだけど…」
少女の声に拓也は笑い、御前の移動手続きに忙しいんだろうよ、と繋げた。
「移動?え?あたし何処行っちゃうの?刑務所?」
「は?何したんだよ。売春でもしたか。」
「しないよ!あたし処女だよ!」
「ほお、偉いじゃねぇか。うんうん。如何でも良いけど。御前が処女だろうが中絶女だろうが。」
「ねえ、何、移動って。私なんかした?」
「してねぇよ、してねぇからこそ移動すんだよ。」
前々から此の少女を、身寄りが無いだけの本人に全く問題無い子供が住む施設に移動させようと思っていた。
今少女が居る施設は一桁の子供が多く、行動と精神的にかなり問題があるのばかりで、中学生は彼女一人で、二桁は小学六年、小学校に中学生を通わせて居る感じだった。
拓也が移動させようとする施設は、先ずに中学生からしか入園出来ず、高校卒業、十八で卒園になる。
今居る施設では最年長かも知れないが、拓也が移動させようとする施設では真ん中辺りだろう。
「高校、行けるぜ。」
「嘘、本当!?」
「定時制だろうけど、頑張りゃ普通に行けるかもな。」
「定時でも商業でも高専でも夜間でも何でも良い!高校行けるならなんでも良い!」
「おー、頑張れよ。」
うん、と少女は明るく云い、又新たに電話を掛け始めた拓也は、椅子から立つとコートを掴み、本郷にバイバイと手を開閉すると、部屋から出た。其の背中に課長が、お疲れ井上、又明日、と拓也の終業を知らせた。
「俺も帰るか。」
「ほんっと、此の課って、仕事しないよね。」
木島の言葉に、
「イガオノ。木島が当直したいって。帰って良いぞ。」
と当直の五十嵐直人と小野田聖四郎、他四名の当直刑事に云い、其の儘課長は帰宅した。
「本当ですか?有難う御座います。」
「待て待て待て、五十嵐。」
「本郷さん、一緒帰りま
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