暁 〜小説投稿サイト〜
歪んだ愛
第3章
―6―
[10/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
かは机に向いた。此れゆりかに似合いそうだから、と趣味でも無い服やアクセサリーをゆりかは受け取った。其れを着てまどかと遊びに出掛けた。
まどかの趣味はころころ変わった。ファンシーな趣味だと思ったらパンクになってみたり、かと思ったら男装してみたりと、ゆりかも見ていて飽きなかった、が、まどかがゆりかに勧める服はお嬢さんお嬢さんした物だった。雑誌の類を一切読まないゆりかは、一体自分に何が似合うのか、何が好きなのかも判らず、まどかが似合うと云えば受け入れた。まどかが言うなら似合うのだろう、と。
学生時代も同じだった。
学級委員等したくなかったが、周りが勧めるからした。本当は、押し付けられていたのに。然し其れで教諭の信頼を得たのだから、此処でもゆりかは他人の意見が正しいんだと認識が強くなった。
高校時代、其れは確立された。
一年の時、三年生の男子生徒に告白された。
初めてだった。
ゆりかは有頂天になったが、周りが、あの先輩だけは止めな、良い噂聞かないよ、父親からも未だ早いと諭された。
其れでもゆりかは好意を受け入れた。
其れが間違いだった。級友が言う通り其の先輩は女遊びが激しく、面食いで、自身も所謂イケメンだった。
自意識過剰で、俺程の良い男は良い女を食って当然、と云うスタンスで、ゆりかの他にも女は沢山居た。終いにはまどかやあの幼馴染みからも、チャラいな、止めとけよ、と迄云われた。
結果ゆりかは二ヶ月で捨てられ、おまけに処女迄奪われた。やっぱり周りの云う事聞いとけば良かった、と後悔した。
其れからゆりかは、何をするにも周りからの助言を頼りにし、全てを周りに決めて貰った。
娘さんは此の大学が良いでしょう、学力内申共に推薦を出せます、と三年時の進路面談の時担任に云われ、国公立だったので父親が頷いた。
そうしてゆりかは国公立の法学部に推薦で入学し、まどかは私立の女学院大学の経済学部に合格した。
まどかは相変わらず自由奔放に自分の恋愛を楽しむ、ゆりかは何も無く過ごしていた。
そして三回生の時、アルバイト先の法律事務所で夏樹に出会った。
優しそうな顔だが、何処か影があり、切羽詰まると、あかんあかん、そんなんちゃうねん、なあ頼むしそんないけずせんと、御宅エグいねん、僕負けますよぉ?と関西弁を喚き散らした。

――夏樹先生、ギャップが凄いですよね。
――そうかな…、え?何処等辺が?
――関西弁喚き散らすトコ。私の両親も、感情高ぶると関西弁出るんです。何時も関西弁ならそう思いませんが、なんか、親近感湧きます。

二十歳そこそこの、恋もまともに知らないゆりかが夏樹に惹かれるのは磁力並だった。砂場に磁石を近付けるみたく、S極とN極を合わせた様に、ゆりかの心は夏樹にくっ付いた。
然し、高校時代のトラウマがあった。
あの時、自分の考えを押し切っ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ