第3章
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然し、此のメンバーだ。
悪意でからかう相手が居れば、全員が彼を守ってくれるだろう、そう踏んだ。
だから水泳の授業に出なかったのかとまどかは納得した。何だか担がれた気がしたが、彼の笑顔に良しとした。
――で?
担任の目はまどかに向き、必死に笑いを堪えていた。
――其処の学ランのお姫様は、学ランじゃなくて良いのか?くふ…
――は?
――あっはっは、何でそんな似合うんだ!
――何で笑うんだよ!あんた担任だろう!?
――此処迄美形とは思わなかったんだよ。あー笑った笑った。制服だけじゃなく、身体も交換してやれ。
担任だけでは無く、職員室にいた教諭殆どがまどかを微笑ましいと笑った。
――腹立つから此れで帰るわ。
――え?
――明日休みじゃん、明日遊ぼう。
――良いけど。
――おいおいデートかよ。
――断固阻止!
――青春は許さん!
――じゃ御前等も来いよ。
其処に、ゆりかが日誌を持って職員室に来たので其の侭挨拶を済ました。
ゆりかの教室迄付いて行き、其のまどかの学ラン姿に女生徒は黄色い声を上げた。
双子というので有名で、性格も見た目も全く違うので、二人は良く生徒達からも比べられていた。
男子に圧倒的人気なのはゆりかで、女子に人気なのはまどかだった。唯ゆりかは奥手で、余り人と関わりを持とうとしないので友人は少なく、又そんなゆりかに話し掛ける女生徒も少なかった。男子からも、アイドル的目線で見られる事はあっても話し掛ける勇者はおらず、気さくで活発なまどかに話し掛けた。
其の時偶々残っていた、ゆりかと同じに学級委員をする学年一秀才な、ピアノの貴公子と呼ばれる男子生徒が、そっちも良いけど僕はセーラー服を着てる君の方が良い、と眼鏡で隠れる目元を手で隠し乍ら云ったもんだから、一層女生徒の歓声を高めた。
――ん?そうか?有難う。
――うん。
――ゆりか、帰ろう、病院行くんだろ。
――え…?嗚呼、うん…
決死の告白を流された彼は打ち震え、どんまい委員長、御前にはピアノがある、序でにボーイッシュな女も一杯居るぜ、と残った生徒から慰められた。
其れを翌日、グループ内で云ったら爆笑された。其の日は一日、トランスジェンダーの彼を“女子化”するべく夕方迄遊んだ。
娘と化した彼に両親は泣き乍ら、貴方達が友達で本当に良かった、と感謝を述べた。
其の帰りだった。
幼稚園から馴染みとの分かれ道。
――送ってくか?
――うにゃ良い、彼奴なら未だしも俺だぜ?誰も襲いやしねぇよ。
――確かに。彼奴なら襲うけど、御前は襲わんわな。
――云ってろ。
笑った、其の三十分後、まどかは絶望に突き落とされた。
赤かった夕日、気付いたら冬の気配を含む冷たい空気がしていた。
草の匂い…?違う。其れに良く似
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