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歪んだ愛
第3章
―2―
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前の店に、此の女、常連で居ないか?
――聞けよ、人の話。日本語通じないのか?

送り付けた二枚の写真。

――化粧の濃い方は判らん、が、もう一枚の女は常連だ。週一で来るよ。
――昨日来たか?
――昨日?昨日は来てないね。
――謝謝。

其処から凡ゆる情報を引き出した。
戻った和臣は瞬間課長に掴まり、特殊任務だ、其の一言で逃げ出した。署内を逃げ回ったのだが五分程で本郷にあっさり捕まり、そして、此の状況だ。
「もう逸そボイ路線は、龍太。其れだと胸が無くても問題無ぇだろ。」
顰めっ面の和臣の後ろで井上が云う。
「そしたら唯の木島さんだ、元が中性顏だから。」
其れもそうか、と和臣が被る予定のハーフウィッグに櫛を通した。
「なあ、此れ巻く?」
「木島さんは輪郭が細いからストレートの方が似合うだろう。」
「失礼するよー。」
髪の真ん中半分を上に上げ、其処から腰程迄あるハーフウィッグを井上は付けた。
整え、鏡越しに見た井上はたった一言、何で御宅女じゃねぇの?女だったらマジどストライクなんだけど、と鳥肌ものの言葉を寄越した。実際和臣の全身と云う全身は粟立ち、毛迄逆立った。
「股閉じろよ…」
スラックスの上から膝上のスカートを履く和臣に課長は云う。
「閉じない…」
「何で。」
「ヒールでバランス取れないのと…」
スカートの下からスラックスを脱ぎ捨て、ワイシャツを脱ぎ乍ら云った。
グレイのペンシルスカート、トップスは青をベースにするスカーフに合う様、グレイと水色を混ぜた様な色のVネックのニットシャツにした。
此れに黒のジャケットとパンプスだ。
上から煌びやかに、下に連れシックに……本郷の見立てに文句の言い様が無かった。オマケにヘアは漆黒のストレートだ。
アイラインをキツ目に引けば良いだろう。
「此れ以上は…無理です課長…」
「幾らコンサバキャリア系でも、股広げてたら台無しだろうが…」
限界迄閉じるが、男と女、基本的な構造、唯一の違いがパンプスとのバランスで仁王立ちになってしまう。
「俺…男だよ…課長…」
「嗚呼、な…。納得した…」
女の股座には無い固定物。
「然も俺、人一倍デカイんだよ…」
女が股を開かず、難無く交差させ立てるのは、支点である股に障害が無いから。男がガニ股…立つ時足を無意識に広げるのは障害物があるから。
「タイトなスカート履いてんのに、何で尻がゴワゴワしてんだ?」
井上の疑問。
「さっき写真撮ったろ、見てみろよ。」
見たくは無いが、だったら何故撮った、本気で載せる気かと云う疑問はさて置き、確認した井上は理由に頷いた。
「ボクサーに変えたら。」
「無理無理無理。其れでペンシルスカートなんて履いたら一発でバレる!」
必死の和臣に、デカイと大変ね、と冷静な視線を流した。
「龍太
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