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歪んだ愛
第2章
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ベーター、ローザの前を通らなければ絶対に行く事が出来ない。
夏樹が怪しい動きをしたら先ず音声で判り、烏、そう云えば良い。
課長から許可貰った井上は、日本酒の入るグラスを一気に飲み干し、本郷を連れてローザに向かった。
「なんて講釈垂れたけど拓也。」
「正解。木島さんと一緒に居たくねぇだけだよ。ハイ!ヘンリー!来たぜー?」
「ウェルカーム!拓也!リュタもグッド イブニーング!夜は此れからさ!」
「相変わらずテンション高いですね、貴方。今晩は。」
「ハイテンションが俺の取り柄さ!リュタの英語は相変わらず上品だね。」
「其れが取り柄ですから。」


*****


「橘さん、大丈夫ですか?」
何度もイヤフォンで、分析した肉声を聞く橘に和臣は向いた。
「大丈夫です、聞けば一発で判ります。電話でも判りますが、一度電子変換されてしまいますからね、本物を聞きたい。俺の耳を信じて下さい、大丈夫です。夏樹さんが、たった一言でも俺の前で話せば分析出来ます。後、此奴です。」
テーブル席でパソコンを立ち上げ、周波数をじっと見た。
此のパソコンには特殊マイクが内蔵され、分析された音声と一致する周波数があれば即座“一致”と教えて呉れる。こうして皆が其々喋る今、当然反応は無く、目紛しい速さでパソコンは“不一致”を繰り返す。そして、一度“不一致”と認証した音声は拾わない賢い橘の相棒である。
「凄い…」
雪子は目の前で広がる、無縁の状況に興奮して居た。
「凄い、凄い!警察ってこんなハイテクなのね!」
「俺達現場はアナログだよ。橘さん達は科学を相棒にするけど、俺達現場は、直感が相棒だから。」
和臣の言葉に時一は、僕もアナログですよ、と加えた。
「そうでしたね。」
「人の気持ちは、電子では判らないですから。」
そう云った時一だが、橘がふっと、そうとも云えませんよ、と鞄からiPadを取り出した。
機械は苦手だなんだと云い、携帯電話もガラケーの癖に、文明の利器だけはしっかり持っているらしかった。良く見るとパソコンもMacBookだ。
流石は物理担当、“林檎”はお好きな様子だ。…だったらiPhoneにすれば良いのに。
「夏樹さんが来る迄、俺、皆さんで遊んでます。」
普段は、何が悲しいのよ貴方…、と聞きたい程憂い纏う橘の顔だが、今だけは随分と生き生きする。
「俺、ちょーっと暇でしたんで、アプリ作ったんですわ、先生ぇ。」
「へえ、どんな。」
「音声を読み取って、相手がどんな気持ちか、てアプリです。」
市場に出せよ、と其の場に居た全員が思った。
何が、「機械は苦手」だ。そんな人間がプログラミングし、暇潰しでアプリ等作れる筈が無い。
「何やろ、ポリグラフに似てますわ。たぁだ此奴は、声の強弱で感情を分析するだけですから、七割、ですかね、分析率
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