第2章
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滞在予定だったが、エレベーターで尻を触られ、振り向くと良い男がウィンクを呉れた事で、此れは確実にヤられるな、と痴漢に遭った翌日帰国した。
其れを話すと、ヘンリーは盛大に笑い、井上は同じ被害者意識で初めて同調した。
ミッドナイト キャットのドアーを開こうとする井上にヘンリーは、え?こっちじゃないの!?と本気で驚いた緑の目を向けた。
「本当はそっち行きてぇんだけど、今日仕事なんだわ。」
「…ユキコ、又クスリとウリやっちゃったの…?」
「失礼ね…、もう…して無いわよ…」
「御前もかよ…」
と井上は雪子に呆れ、雪子に対し「御前もか」と云った、という事は詰まり、此のイギリス人も薬物の前科持ちだと判った。
ゲイで薬物前科持ち…、侭イギリス人道を歩いて居る。流石は、水道水、紙幣、大学の手摺、果てはオムツ交換台にでも高確率でコカイン反応を叩き出す国だ。
不審の目を向けられる事に気付いたヘンリーは、日本ではしてない、と慌てて首を振った。
「因みに今迄何をした?」
「ニードル以外は全部したね。コカイン手に入れる為にプッシャーを恋人にした、マリファナ吸う為にディック吸った、もう、何でもありだったよ…、御蔭で身体はボロボロだ。」
ヘンリーは即答し、過去を嘲笑う顔で店に入った。
「あ、俺、良い事考え付いた。」
雪子から日本酒の入るグラスを受け取った井上は時計に目をやり、八時五分前、ガゴンとエレベーターの開く音にグラスを傾けた。
「流石課長、五分前きっかり。」
「…本郷は?」
「あれ?下居ませんでした?」
「え?…あのうろうろしてたの、やっぱり本郷か。本郷っぽいなーとは思ったけど、御前と一緒だと思って他人の空似だと思った。」
「其処迄似てんなら、声掛けて下さいよ…」
すると、矢張り課長でしたか、と、漸く辿り着けた本郷の声がした。
本郷、刑事の癖に重度の方向音痴で、ナビ操作でも迷うレベルだ。機械が大の苦手で、ナビに向かって癇癪玉を破裂させる。
店が入るビルの前で井上を一旦下ろし、駐車場に車を置いたのだが、少し離れ過ぎた所為でビル其の物が判らなくなった。困り果てていると、あの特徴的な三つ編みを見付け、いや然し目が合ったのだが三つ編みは一人で浮上した。
あれが課長で無ければ一体誰なんだ。
慌ててエレベーターに乗り込んだが、目当てのミッドナイト キャットは六階、課長が下りた後エレベーターは四階で停まり、だから四階だと四階で下りたが唯のフロアで酔った若者が踊って居た。
絶対違う、ともう一度一階迄下り、ビルにある看板を見て六階だと気付いた。
そして今に至る、という事だ。
「お疲れさん…」
「大体御前が一人で行くからだろう!」
「悪かったって…、つーか其の方向音痴、病院で診て貰えよ…」
「病院で治るのか!?なら明日行く。」
「…脳神経外科
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