第2章
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。横の、ローザっていうバーのマスターよ。」
「ふうん。」
「何年か前迄、モデルさんだったらしいの。…レディースの…」
「……へえ…」
「なんか、最近そういう、性別無視したモデルが多いわね。」
「だな。」
云って和臣はミッドナイト キャットから出、本の数歩歩いた場所にあるローザを見た。雪子も釣られて覗き、開店前だから好きに覗いて良いよ、と店の前の掃除を始めた。
「あ、オレ、ヘンリーって云うの。」
「和臣だよ。」
「カズオミかー。」
チン。
エレベーターの停止音がし、ガゴンと鈍い音を出し開いたドアー、瞬間、あのヘンリーとやらの絶叫が聞こえた。
何だ!?暴漢か!?冗談じゃない…管轄外だよ…
うんざりと見た和臣だが、何、暴漢被害に遭って居るのは井上だった。
エレベーターを出た筈なのにヘンリーに抱き着かれる井上は其の侭又エレベーターに逆戻りし、ガゴン、虚しくドアーが閉まった。
其の半畳の箱から、拓也拓也会いたかった…、と熱烈な英語が聞こえた。
エレベーターは運良く動いておらず、ボタンを押した和臣は、半畳の密室で行われる暴行行為を眺めた。
「いや、見てねぇで助けろよ。」
「やっぱ御前もホモじゃん…」
「ゲイはヘンリーだけだよ…」
「そ、オレ男ダーイスキ。タクヤはもーっとスキ。」
「へいへい…判ったよ…、聞き飽きてるわ…」
ガゴンと又閉まるドアー。
「締めんな!」
「え?何で?」
「御前と密室に居ると、尻の警戒レヴェルが並大抵じゃねぇんだよ。」
「やだなぁ、拓也…」
流石に処女は強姦しないよ…。
薔薇色の唇が、井上の真後ろで歪に形を変えた。
英語が理解出来る自分を呪った。
和臣や雪子と話す時は片言の日本語だが、井上の場合だと双方英語だった。其れでヘンリーとやらゲイ男の国籍が判った。
イギリス人、納得してしまった。
ロンドンでは、良い男を見たらゲイだと思え、と迄云われる国だ。イギリス人は、ゲイであるセクシャルを隠す習慣が余り無い。ゲイですか?と聞けば、大抵の場合うんと答える。
イギリスに行った時、信号待ちして居るといきなり目の前の男二人組みがぶちゅっとした。何が起きたか判らず和臣は二人を凝視したのだが、周りのイギリス人は何事も無く、二人がキスしている事さえ知らない感じだった。
又別の場所で、此れはカフェだった、レジ待ちして居ると、前の女四人組の内二人が、イッチャイチャいやんあはんと、注文する友人を待ち、又此処でもぶっちゅぶっちゅして居た。
もう何なんだ、イギリスは…
イギリス人は暇だとキスする事が、二週間の旅行で判った。異性も同性も、多分、一日に十回は他人のキスシーンを見たのでは無いか。
唯、もう二度とロンドンには行かない。
此の身長、女顔、細さ、然も日本人…厳ついお兄様方に狙われた。本当は一ヶ月の
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