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歪んだ愛
第2章
―9―
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者”としても並々ならぬ業績があるのは確かだ。
文書担当の斎藤は地方国立大学出身で、此方は修士だ。違うのは、ずば抜けた復元能力。
人体の骨格復元は本来法医…菅原の担当であるが、斎藤が少し手を加えると、侭粘土色の生首に見える。最近ではシリコン、斎藤が型を作りシリコンで作成し、義眼と斎藤の着色で、本物にしか見えない。
そして、忘れてならないのが斎藤の本職は考古学、印字物の解析。
偽造通貨を一発で見抜けるのが斎藤だ。
目隠しをし、偽造通貨とを比べさせても十秒あれば、あの繊細な指先の細胞で見抜く。一グラム以下の重さでも斎藤の手の中では無意味だ。科捜研が精巧に作った偽造通貨でも、指触りで判らなければ臭覚を使う。偽造通貨が出回る訳は無く、本物であれば人間の匂いがし、新札であれば、日本銀行しか持たないインクの匂いしかしない。一般人には判別出来ない特殊なインクの匂いを斎藤は嗅ぎ取れる。
偽造文書もそうだ。
斎藤は“実物”を手、目、鼻で知れば機械以上の分析を即座に出す。
そして、秀一。IQ165を叩き出す超天才博士。
電子、薬物、金属、土性……聞いただけで、全ての分析を頭の中でする。化学に関する全ての事は、秀一の頭にある、下手すれば新しく何かを発見するかも知れない。
化学もそうだが、秀一には“数学分野”…即ち“確率分野”が備わって居る。
確率分野…此れは時一の“心理”が深く関わる。
人間の精神行動は、心理学に元付いて居る様で、案外“確率”の問題かも知れませんね、と時一は云う。
犯罪者は…?
要因を持って居ても必ずしも犯罪は犯さない、全てが“確率”に値する。
土に関しては、斎藤が本来の分野なので、一番最初を秀一は譲って居る。“分析”は“考古学”では無く“地学”…詰まり科学に属する為、其処は秀一が分析する。斎藤がするのは砂の“特質”を秀一に教える事。例えば、土の匂いを嗅ぎ、本来とは違う匂いがする、…其れが薬物か血痕か、化学物質か…其れ等を分析するのが秀一だ。
交通事故。此の場合動くのは、事故の発生原因を突き止めるのが橘、血中アルコール分度を調べるのが秀一、そして屍体其のものを調べる菅原。
車体に問題があれば橘が一番で動き、車体本体に問題が無ければ秀一か菅原、全くの外傷が無ければ、秀一が血液中にある薬物或いはアルコール分度を調べる。
其れが科捜研の仕事である。
本庁の人間ですら余り関わりを持たない研究所員、課長が菅原と知り合いだったのにも驚いたのだが井上迄も知り合いだったとは。
あの店、侮れない。狭い店故、客と客の距離が短い。
「繋がってるって?」
「半年位付き合ってたんですよね、課長。」
「付き合ってない!誰が付き合うか、あんな変人!」
「付き合って、って…課長一応既婚者じゃん…」
一応、と云うのは、同性愛者に異性結婚と同等の婚姻法
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