第2章
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アントと会って、一旦戻るので……八時ですね。…木島さん、本当、社交辞令で大丈夫ですから。」
「迷惑なら良い。」
「迷惑では無いですよ、本当。僕、飲みに出ないので場所とか全く…、木島さんが居れば心強いですけど。」
「中ノ目黒迄出れるか?」
「え?嗚呼、大丈夫ですよ。」
「俺の行き着けだから、知り合いが居るかも知れないけど、無視して良いから。」
「あはは、判りました。」
「じゃあ、仕事終わったら、連絡呉れ…」
「楽しみにして於きます。」
「……嗚呼…」
切った電話、獅子の大きな口元が真横に裂けた。
「此れで、良いですか…?」
「十人入るかな。」
「十人?」
和臣の計算では、夏樹、課長、時一、橘、そして自分と五人の計算だが、其れが何故十人になるのか。
摩訶不思議な顔で自分を見る和臣に呆れた課長は、加納に向いた。
「御前は理由判るよな?」
「はい、刑事は“コンビ体制”ですから。」
そういう事か。
若し、夏樹が何かを察し逃亡或いは認めた場合、逮捕…此れは仕事になる。いや、此れは仕事だ。張り込みと同じだ。
なので、和臣単独で夏樹を捕まえた場合、何で加納と行動を一緒にしてなかったんだ?と云われる。
理解出来たが、後四人足りない。
「本郷、井上。」
「経費あざっす!」
「嫌だ!絶対行かん!」
酒豪の井上は経費で酒が飲めるなんて有難いと、最敬礼で仕事を喜ぶが、下戸の本郷は、女も嫌いであれば酒も嫌い、仕事でも行きたくない場所に嫌悪を示した。
然し、其れでも八人。後二人は誰だ。
「…済まん、十人は適当に云った。」
「課長、菅原さん呼べば。そしたら其の博士(ハクシ)も来るだろ。」
そしたら十人、井上の言葉に課長は大きく首を振った。
「嫌だ、彼奴とは極力関わりたくないんだ!」
「此の間、一緒だったよね?」
「…偶々、だ…」
「嘘だろう、課長。課長、未だ菅原さんと続いてんでしょうよ。」
「…井上…?」
何故だ、何故井上の方が何でも知ってるんだ。
和臣は不振に満ちた目で井上を見たが、雪子のあの店に出入りして居れば、大体の課長の交友関係が把握出来るらしかった。
博士、と云うのは秀一の事で、何も秀一、唯の奇人では無く、きちんと博士号持つ奇人である。
抑に科捜研は、ずば抜けた知識と社会的地位、其れが無ければ修士乃至博士の号が無ければ採用されない。あの医者三人は医者としての地位が、特に菅原に至っては外科医としてだけでは無く元監察医の立場もしっかりとする。
時一も、精神科医としては結構な有名人である。用の無い和臣に知識は無いが。テレビに出て迄…とは流石に云わないが、出す本は相当に売れるらしい。最近では、犯罪者の分析が本業になっているので、其の“犯罪心理学”に就いての本がバカ売れだとか何とか…。時一は、精神科医としても“著
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