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歪んだ愛
第2章
―8―
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大昔、十五年近く前だろうか。ウィンドウズ95で遊べてたソフトが98で使えなくなった思い出がある。其のソフトの対応OSを見ると95と96で、何の為に父親に泣き縋って迄最新パソコンを買って貰ったか判らない。神を呪った。父親のパソコンは対応パソコンで、然し、父親が居ない夕方に父親の書斎でするのか…?作家の商売道具とも云えるパソコンを無断で使用し、見付かったらただでは済まない。其れで無くとも業界から“鬼”と畏怖されるのに。ソフトがソフトなだけに洒落にもならない。と云うか、作家だから常に家に居る。和臣の方が自宅に居る時間は少ない。
唯、神様って奴はそう悪い奴では無く、父親がノート型に変えるから此れを棄てると云った。
棄てる神あれば拾う神あり…、頂戴!と云った所、変な奴だな、と云われたが、此のゲームが出来るなら、変人だろうが変態だろうが何にでもなれた。然し、此の父親、かなり勘が鋭いのだ。獣並みの臭覚と洞察力を持つ。
全く使われた形跡の無いパソコンを見た瞬間、理由を云え、と云った。
云える訳が無い。
腰痛と不眠症、編集者と戦い出来た貴方の金で、私はアダルトゲームなんぞ買ってます、とは。
其の時和臣は十六歳で素直に云えない事もあった。無言の和臣に父親は、不眠と頭痛で出来上がり、刻み込まれた眉間の皺を掻くと、其の侭部屋から出た。そして業者に、済まんが其の侭息子の部屋で繋いでくれ、と頼んだ。
思い出したくない記憶を思い出した和臣は頭を抱え、どうせ俺は変態だよ、と呟いた。
「で、其れが何なの…?」
「ええと…、嗚呼、そうです。此処にある機材はほぼ最新です。だから、型が古い物になると、パソコンだと、其の何十年も前のパソコンを読むのに時間が掛かるんです、古過ぎて此方のパソコンが混乱するんです。若者が耄碌を相手する様な物で、話が噛み合わないんです。だから、此の音声、時間が掛かりました。現代のボイスチェンジャーだと数時間で分析出来ますから。」
「そういうもんなのか…」
機械に疎い和臣は何と無く理解示した様頷いたが、実際余り判って居ない。最新だからこそ、何にでも対応出来るのでは無いか。
煮え切らない表情をする和臣に菅原はこう云った。
「中学生位が憲法第九条に付いて話してたら、いきなり知らん九十、百位の爺が、ビルマに居た頃の話をする様な感じ。」
組んだ足を組み直し、ゆったりと背凭れに背中を愛撫させた。
「俺達位なら、ビルマが今のミャンマーやって事も判るし、祖父母がまんま戦時やろ?俺は理解出来るけど、中学生からしてみたら、何此のジジイ…ビルマって何、でポカーンやろ。で、Google先生に、ビルマってなんですかね?て聞く次元。で、ミャンマーか…ミャンマーって何処だ…先生何処ですかね?、流れ流れてジジイが何でそんな事を言い出したのかに繋がる。ジジイは耄碌でも無いし
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