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歪んだ愛
第2章
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「子供居ての離婚は、僕の専門中の専門です。五年後お待ちしてます。僕が旦那側に付いた場合、八割の確率で親権を父親に渡しますよ。ネットで噂になってるんですよ、僕に頼めば高確率で親権が貰えるって。親権再審議の場合は尚有利ですね。子煩悩の父親は、親権を得る為なら、幾らでも金を出すんですよ。」
「随分と生臭いな。」
「生臭いですよ、弁護士なんて。金と足元…汚い場所しか見ないんですから。」
澄んだ目元に影が落ち、薄く笑うと珈琲を飲んだ。
ちらりと、袖から覗いた時計に夏樹は視線を投げ、其の時計も、子を愛する父親の気持ちで嵌っていると思うと、和臣は何だか遣り切れない気持ちになった。
「如何して、そんなに父親に親権を渡そうとするんだ?日本じゃ、親権イコール母親の概念が強いのに。」
「だからですよ。如何考えたって、経済的に有利なのは父親、結婚してる男は大概が安定した給料を持ってますから。一部…は判らないですけど、僕の所に来る方で名刺を持たない父親、ってのは先ず居ませんね、弁護料が高いので。抑、安易に離婚する様な蓮っ葉な気の持ちで子供が育てられると思わない。」
昼食を終えたOL達が弾かれた様に店から出る。昼休み開始時刻も同じであれば、店に入る時間も一緒、食事も同じく流れる様に出るのだから、出る時間が重なっても不思議では無い。
二十代前半であろう若いOL達の顔はつやつやと、未来に向かい輝いているみたいだった。飛ぶ様に歩き、顰めっ面、仏頂面で安定した歩幅で歩くサラリーマン達と違い、一人でも、ニコニコと笑い歩いてるOL迄居る。
若いって良いなぁ。
此の、未だ未だ少女っぽさを残すOL達も、何時かは母親になるのだろうか。そして、夏樹やらの世話になるのだろうか。
「昔の母親は、どんなに旦那が嫌いでも、どんな仕打ちを受けても、子供の為に、命削って耐えてました。熟年離婚が此れです。其の場合は僕、奥さん側に付きます。」
雑踏から目を離した夏樹は、睫毛の影を目元に写し、漆黒の水面に映る何か…過去を見ていた。
「人生初の依頼人、其れは母でした。」
いきなり何の話をし出すかと思ったが、夏樹の事を知るには良いだろう、其れで無くとも時一から「早く夏樹冬馬の情報寄越せ」と煩いのに。
三人だけの店内、静か過ぎる程なのに、夏樹の声は注意しないと聞き取れない程だった。
「夜中です、もう一時過ぎ。受話器の向こうで母は、お母ちゃん、もうええかな…、お母ちゃん、もうお母ちゃん業…廃業したいねん…、…そう云いました。其の後ろで、相変わらず父が暴れてました。…世の中には、居ない方が良い親が存在するのも確かです。僕の父は、絵に描いた様な屑で、こんな屑そう居ないんじゃないかって位。クズリンピックとかあれば、もう金メダル総舐めって感じの。日本代表は貴方ですよぉ、みたいな。余りにも屑だったから高校
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