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歪んだ愛
第2章
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わります。依存性人格障害は、全ての人間に依存します。共依存は一定の人物に依存します。」
其れだけ云うと時一は椅子から立ち上がり、喫煙所を出た。
心理学に詳しくない和臣は全く意味が判らず、真意を探る可く喫煙所を出た。
此れでは、東条ゆりかが依存性人格で、東条まどかが共依存になる。
和臣が自分の後を追う事を判って居た様に、時一は休憩室にあるホワイトボードに背を向けて居た。何かに取り憑かれた様にホワイトボードに文字を走らす時一に声を掛けれず、白猫を抱いた斎藤が、時一さんが本気出しよるわ、と滑らかな毛並みを手の平に教えた侭答えた。
「滅ぇ多な事無いと、時一さん、本気出しよらんからな。武者震い起きるわ…、今回わいの出番は無いけど、橘さんも本気出しよるし、先生ぇもせや。ええなぁ、活気あるわ。」
くつくつと斎藤は笑い、くるくると、腕の中に居る猫が喉を鳴らした。
白いボードが黒くなった時、東条まどかとゆりかの相互関係を記したボードの横に新しく二重式のボードを出し、又一心不乱に時一は黒く染めていった。
「依存性人格障害は、八つの項目の内五つ、当て嵌まると認定されます。」

1・自分の生活の主要領域を、他人に決めて貰う。……起床時刻、食事内容、趣向。←東条ゆりか、夏樹冬馬の趣向
2・支持又は是認を失う事を極端に恐れる為、他人の意見に反対意見を出せない。……勤務態度。
3・自分自身の考えで計画を始めたり、物事を行う事が困難。……過剰な迄の病院付き添い。
4・自分の面倒を見る事が出来ないという誇張された恐怖の為、一人になると不安或いは無力感を感じる。……友人の多さ、連絡のマメさ。
5・自分一人が残され自分で自分の面倒を見る事になるという恐怖に、非現実的な迄に捕らわれている。……助言者が居ない事への恐怖。
6・日常の事を決めるにも他人の助言と保証が必要。←東条まどかの趣味や趣向を第三者に聞いた時、誰も思い浮かばない。

白いボードが黒くなった所で時一は二重式のボードの余白を下げ、赤ペンを持った。

7・他人(母親、周り)からの愛育及び支持を得る為に、不快な事(ゆりかの面倒見、過剰な活発さ)迄、自ら進んでする。
8・一つの親密な関係(ゆりかの喘息)が終わった時、自分を支えてくれる別の関係を必死で求める。……夏樹冬馬。

「以上が、依存性人格障害を診断するに当たっての項目です。」
文字であるのに、東条まどかが目の前で息をしている錯覚を覚える程だった。此の短期間の少ない情報で、良く此処迄分析出来たと思う。
靄がかった様に曖昧だった東条まどかの姿、其れが濃く見えた気がした。
「東条まどかは、東条ゆりかで居なければなかったのと同時に、対局出なければならなかった。唯一つ、僕に判らない事があります。」
何方がまどかで、何方がゆりかなのか。
東条
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