第2章
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処って、ゲイバーなのか?」
「は?」
シェイカーから液体を流した雪子は素っ頓狂な声と共にグラスを菅原に渡し、そして秀一に渡る。其の間に雪子は和臣のグラスに酒を注いだ。
全く無駄の無い女だ。
「え?此処、二丁目じゃないんだけど。確かに中ノ目黒二丁目ではあるけど。」
「俺以外ゲイしか居ないんだけど。」
グラスを口に付けた侭三人を見た。又同じに、焼酎の入るグラスを傾ける雪子は秀一に向いた。
「俺以外って、え?長谷川さん、ゲイなの?」
「え?今?今更か?アイ ワズ ゲイ。アンズ ジーニアス。」
雪子は盛大に噎せ、課長さんと菅原さんは知ってたけど、と云う。
「ゲイバーじゃないです、後、あたしもゲイじゃないです。」
「良かった、此れで、ミートゥー、とか云われたら如何しようかと思った…」
ゆるゆると日本酒を流す和臣の薄い唇を雪子は凝視した。薄いグラスから離れる薄い唇、凝視する雪子の目を捕食獣の目で和臣は流し見た。
「木島さんって、歌舞伎役者みたいな目の動きするわね。」
「女形系男子なら内の署に一人居る。」
雪子から其の侭課長に視線を流した。
「止めろよ、何であんな能面思い出させるんだよ…」
「女形系男子って斬新ね。」
「能面…、あ、あの眼鏡の兄ちゃん?エレ・キ・テル氏の攻撃受けた。」
菅原の言葉に秀一が反応した。
「おお!彼奴か!俺彼奴嫌い。」
「加納も嫌いだと思うよ。」
初見であれだけの暴行を受け、好き、と云ったら其れはとんでもないマゾヒストだろう。
「薄ら寒い顔しやがって。」
「だけど彼奴、柔道黒帯だぞ。結構身体が凄い。一七五センチで七十キロあるっつったもん。」
「え?あの兄ちゃん、そんなある?見た目細いけどなぁ。骨密度と筋肉が凄いんか。」
「意外とどっしりしてますよ、あの能面。」
「はあ?何其れ、斎藤以上に胡散臭い。」
「眼鏡掛けてる奴って、胡散臭いんだな。」
和臣の其の言葉に雪子は静かに酒を飲み、しん、とした空気が店内に漂った。
王者の目で和臣を見る課長も、爬虫類の不気味さを宿す秀一も、ゴールデンレトリーバーの様な優しい垂れた菅原も、皆、眼鏡である。
気付いた和臣は三人の、其の六つのレンズから逃げる様に背中を見せ、気泡が浮上するグラスを光に当て、眺めた。
「ガスの気泡って、ダイヤモンドみたいだよな。」
「木島、やっぱり今日、出勤しろ。」
「誰に云われる迄も無い、自分が一番よぅ知ってるわ。」
「ほお、余程エレ・キ・テル氏に会いたいらしいな。」
秀一のジャケットから現れるエレ・キ・テル氏に和臣は噎せ、狩りの始まりだと云わんばかりに、キュウン…と小さな音がした。
「あの能面が気絶したボルトだ。アルコールを摂取した身体は電気が通り難い。アルコールは電気を通さない。」
首に秀一の腕が、蛇の様に巻き付
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