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歪んだ愛
第2章
―4―
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剃刀送ってやろうかしら。何処よ、此れ。如何せ宝さんでしょ?おお、ビンゴだわ。」
青い瓶を上から伸びる光りに当て、製造元を確かめる雪子の大きな口は舌打ちを?ます。
「何でそんな貶す酒を飲ませ様とする?」
カシュカシュと蓋を開け、フルートグラスに注ぎ入れた雪子は続けて違うグラスに氷を入れた。
「甘口が好きだって云ったから。飲んでよ、菅原さんも嫌いだって云ったし、課長さんはワインしか飲まない。木島さんだけなのよ、此れ消費出来るの。あたしからのプレゼントよ。お待たせ致しました、澪で御座います。」
左手でコースターを置き、流れる様に右手でグラスを置いた。
全く無駄の無い動き、グラスから離れた手は続けて焼酎の瓶を掴んだ。マドラーを数回回し、グラスを両手で持った。
「お誕生日おめでとう御座います。」
「有難う。」
和臣の持つグラスより下にグラスを向ける雪子だが、いやいや、と和臣は其れより更にグラスを下げ、此れに又雪子が、いやいやいや、とグラスを下げた。二人の腰もグラス同様に下がる。
酒を飲む課長と菅原には其の動きの意味が判るが、接待さえしない秀一には、何してんだ此奴等、としか映らない。
「何してるんです?あれ。」
「日本の悲しぃい、序列風習。」
「客依り上にグラスを置いたらいけないんだよ、…御前、そんな事も知らないのか?良い年こいて。」
「俺、接待とかしないんで。」
空になったグラスを置き、其れを素早く雪子は見取った。
「次は?」
「同じの。」
空になったグラスを菅原に渡し、菅原から雪子に渡る。右手はシンクに、左手は新しいグラスに伸びる。
千手観音みたいだ。
細長い腕が四方に伸びる様は其れに似ていた。だから動きが滑らかなのだなと、グラスに口を付けた。
「うわ…、甘…!吃驚した!」
「でしょ!?甘いでしょ!?」
此れが日本酒か。甘口とは云え、日本酒特有のあの舌触りが無い。何と云うか、日本酒なのか?が感想だった。
「何がこんなに甘いんだ。空気か?白ワインも空気入ったら甘くなるもんな。うわ、何だ此れ。」
云って和臣はあっさりグラスを空にした。唖然と、珍獣を見る目で自分を見る雪子、菅原。辛口派の二人にしてみれば、日本酒への冒頭だと思う代物、然し和臣の口にはすんなり合った。
「洋酒はブランデー派?」
「良く判ったな。ブランデー大好きなんだけど。」
「まったりした柔らかい舌触りが好きなのね?辛口が嫌いなのはウィスキーと同じで、舌に痺れが来るから。」
「一寸凄いな、御前。」
「此れでも一応バーテンダーだからね。」
言葉通り雪子は細長い腕を上げ、銀色のシェイカーを振った。
「え?此処スナックじゃないの?」
「看板に、バー、って書いてあるんだけど、見えなかった?」
狭い店内に佇む看板、はっきりと“BAR”とある。
「…此
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