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歪んだ愛
第2章
―4―
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料で良いなら喜んで。」
「あっはは。」
課長は笑う。
「御前の悪業教えてやれ。」
「殺人以外ならしたわね。」
細い鼻梁、雪子は細い人差し指で撫でた。
「…薬と売春の前科持ちか。」
「飲み屋をやってて、先ず売春をしない女は居ないわね。金持ちの愛人だって、結局は金銭が絡んでるんだから売春よ。あたしは一寸其の前に悪い事しちゃってただけ。」
「ヘロインか?LSD?MDMA?マリファナなんて生温い事云うなよ?其の鼻を撫でる仕草はコカインかな?」
「流石ね、お見事よ。五年前迄コカイン大好き人間だったわ。今じゃ立派なアル中よ。二十三なのに。」
「自覚あるだけアル中じゃない。」
「木島、忘れてる様だが云うが、今日は非番だぞ?」
四時迄に帰れば良い、は車の運転に関係する。アルコールを摂取して八時間以内は車の運転は出来ない、と云う事だ。勿論、此れでは法律に反する、出勤はタクシーを使うにしろ、和臣の起床は七時だ。四時半に帰宅出来たとして二時間半は眠れる。
秀一から呼び出し受けた時、一番に確認したのは其の時間だった。
刑事と云う生き物は、事件が起きると二三時間睡眠はザラ、丸二日寝ない時もある。ブラックと云われる民間の会社等、刑事に云わせてみれば、家に帰れるだけマシじゃないかと思う。二時間半眠れれば和臣には良かった。
然し、非番と聞くとなると、和臣の喉は鳴る。
「日本酒、頂けるだろうか?」
「木島も強いからな。」
「ほんに?ほんなら飲もや!俺も休みなんや。」
菅原の言葉に秀一は大きく唸り、やだ本当に勘弁して、と眼鏡を外した。
「酔った先生、本当面倒臭いんだよ。変に絡んで来るし、然も重い!」
貴方だけは素面で居て、と秀一に見られた課長はゆったりとグラスを傾けた。
課長の動きは、一つ一つがゆったりとし、ライオンの様に見える。顔もライオンに似る。全体を見ると綺麗なのだが、パーツ全てが大きくだからと云って其々の主張は無い。
大きな身体と云い、王者の風格をする。
秀一は蛇。眼光が矢鱈に鋭く、犬歯が無駄に尖っている。スルスルと動いている様だが、蛇は案外動きが素早い。グラス一つ動かすにしてもかなり切れがある。
「甘口と辛口何方が良い?熱燗?冷?」
「俺、日本酒は甘口が好き。」
「あ、だったら良いのがあるわ。スパークリング日本酒。物凄く甘いの。」
菅原の好みは知るのか、菅原の酒を作った雪子はグラスを渡し、一旦しゃがんだ。
「澪…?」
「凄ぉい、良く判ったわね。」
立ち上がった雪子の手には青い瓶が握られ、しなやかな手付きでフルートグラスを取った。
「あたしね、辛口が好きなのよ。で、今日お客さんから貰ったんだけど。」
「一瞬で機嫌悪くなりよったわ。」
氷を鳴らし乍ら菅原はグラスを傾け、キリキリ笑う。
「何なの?此れ、酷いわ。製造会社に
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