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歪んだ愛
第2章
―4―
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だらけで見るに耐えないのだが、雪子は、元が細いのだと判る。と云うのも、笑うと頬がぷっくりと膨れるのだ。
頬っぺた、可愛い…。
未だ一口しか飲んで居ないのに酔った気分だ。
「あたしもだぁい好き。特にお酒はね。」
「此奴、此れで焼酎一本空けてるからな。」
「え!?」
「なんで云うの?」
「一本て!?」
「なぁに、本の一リットルさ。消毒にもならねぇやい。」
「嗚呼、吃驚した、一升かと思った。」
雪子の大きな口は益々開き、笑うだけ笑うと真顔で和臣を見た。
「良いよ、後八百、飲めるよ。未だ未だ素面よ。」
大きな目を開き、挑発する様に雪子は首を傾げた。
「一日何リットル飲んでるんだよ。」
「…二リットル位かしら。」
「木島、此奴、本当に底無しなんだ。一回俺と井上と此奴で飲み比べしたんだけど、俺が一番最初に潰れた。」
「井上さん!そう井上さん!彼の人凄いわよね!全然酔わないの。あたし吃驚しちゃって。一升空けてもケロっとしてんのよ。」
「井上はなぁ、彼奴、体液という体液、細胞という細胞、酒で出来てるからな。クラックベイビィならぬ、アルコールベイビィだ。アルコールの羊水で育ったんだろう。」
「俺、酒好きだけど、日本酒一リットル飲んだら流石に酔うよ?」
「なんでそんなに飲めるんだ?」
減ったか如何かも判らないグラスを傾ける秀一は、三人の話を不思議そうな目で見た。
「此奴下戸なんよ。」
菅原の指摘に、飲めるのはワイン一杯位と云う。
「斎藤も飲めん。本当つまらん。」
「ドライバーに徹底する。」
「御前、今飲んでるじゃん。」
「え?此れ、ワインに見えるの?」
「フルボディによぉく似せた紛いもんよ。」
詰まりノンアルコール。
和臣の咥えた煙草に火を点ける雪子の目に、視線が固まった。雪子が瞬きする度、心拍数が上がる。酔った様な不安定な足元、世界に二人居ないんじゃ無いかと錯覚させる様な雰囲気、現に和臣の視界は、雪子しか捉えて居なかった。
二人切りだったら、其の唇に自身の唇を重ねて居た。
出会って三十分も満たない、何も相手の事は知らない、だのに和臣の心ははっきりと雪子に囚われた。
カウンター席に座る菅原は、其の熱い和臣の視線に気付き、課長と秀一に笑い掛ける。
「俺達は如何やら御邪魔の様だ。」
菅原の声に和臣はハッとし、雪子から視線を離した。
「お気に召して頂けたか?俺のプレゼント。」
ワインを流し込む肉厚に唇、何時に無く笑う。
「一寸本当に、駄目、課長。」
照れを隠す様に和臣は一気にグラスを空にし、自分で注ぎ足した。
「此れだから酒って怖いな。下戸で良かった。」
キリキリとノンアルコールを流す秀一は、まるで思春期に近い和臣をからかう。
「娼婦が御入用なら、あたしは如何?」
「生憎日本は売春が禁止されててな。無
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