第2章
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い受給者に向かって「クソしか量産出来んのに何故生きてるんだ、御前が無駄に生きてるから税金が掛かるじゃないか、働かない人間に生きる資格は無い、働けないとは即ち人間の資格を失ってる、牛豚以下の存在だ、そんなに鬱病が酷いなら膨大な入院費を納めて生きろ」と言い放ち、何十枚にも及ぶ始末書を書かされた事がある。相棒の井上から、人権団体に訴えられるぞ、と云われたが、そんな場所に訴えるまともな精神があるなら働ける、其れが罷り通るなら資本主義の意味が無い、と最もな事を云った。流石に其処迄は云わないが、働かない人間に云々は賛同した。聞いた課長は腹を抱え笑って居た。牛豚はそうだよな、クソ垂れ流すがきちんと存在する理由があるよな、と。
公務員の給料云々で難癖付ける輩は社会主義国家に移住すれば良いのではないか、と最近和臣は思う。
生活保護受給者に厳しい本郷だが、批判はして居ない。健康で働く意欲があるにも関わらず全く仕事が見付からない、そんな受給者に対しては優しい。だから本郷、年寄りや資本主義から迫害された誠の弱者には、仏の如く優しい。本郷が交番勤務時代、勤務する交番に老人が集まるという奇怪な現象が起きた。宅老所じゃないんだけどな、と云いつつ相手する。又、家族も場所が場所なだけに安心すると云う。書類整理しかしない本郷にも、時間しかない老人にも良い暇潰しだった。五時になると本郷が一人づつ老人を家に送り、其の侭帰宅する。何時も早口で話す癖に、老人相手だとゆっくりだ。痴呆入った老人をすんなり家に送り届けた時は驚いた。本郷の管轄内の老人網は、行政以上に凄い。老人専用の携帯電話を持つ程だ。此の電話が鳴ると本郷は、今度は誰が徘徊してるんだ、とうんざりする。
抑、老人の徘徊等は生活安全課の仕事、其の途中事故があれば交通課で一課の仕事では無い。刺されたりしたら受け持ちだが。
こういう公務員も居るのだから、給料泥棒等と腐さないで頂きたい。
何故そんな本郷を思い出したかと云うと、雪子が大変世話になったと云ったからだ。なんでも雪子の父親は徘徊癖が酷く、亡くなる迄糞尿垂れ流し徘徊していたらしい。
「ねえ、課長さん。今度本郷さん呼んでよ。」
身を乗り出し聞く雪子に課長は首を振る。
痩せこけた野良猫みたいな貧相な身体付き、イブニングドレスの胸元はスカスカで胸の膨らみ依り胸骨ばかりが目立つ。長いスカートの下は見えないが、枯れ枝の様な細さを持つ足が想像出来る。
其れに知れず、和臣は欲情した。
「彼奴は若い女と酒嫌いで有名なんだ。」
「まあ、残念。」
キラキラした雪子の目が和臣に向いた。
「其方の刑事さんは?お好き?」
向いた笑顔、慌てて笑い返した。
「酒も女もだぁい好き。」
「あっはは。」
真っ白な歯を大きな口から見せる姿は、猫が欠伸している様に見える。
此処迄細いと、大概笑顔は皺
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