第2章
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に倒れない様背筋を伸ばす姿勢、足裏に掛かる筈の圧が膝に掛かる、此れ等身体のバランスを無意識に保つ為歩行の速度が遅くなる。子供の足が妙に速いのは、全身で圧を分散するから。子供って揺れ乍ら走るだろ?身体と足に対して、此れは頭が大き過ぎるから。揺れ、圧を分散しないと前のめりに倒れる。此れが、短距離の仕組みになる。」
黙って聞いては居たが、長い、と和臣は思った。
「地面に接する狭い面積、進行方向に倒した身体。此れ人間の仕組みで、爪先立ちで前のめりになると前に進む。此れが短距離。速さを出す為に面積を狭くし、身体を前に倒す…人体の習性を応用して空気抵抗を無くす。で、皆頭では其の法則を理解してるんやけど、身体が其れを知らない場合身体は動かない。無意識に長距離の走り方をする。東条まどかの身体は短距離の仕組みを無意識にする程知ってる。詰まり、短距離を得意とする。」
「東条まどかはテニスをしてたって。」
「ボールの速さに追い付く為には此れが要る。テニス選手は、膝の柔軟性が非常に高い。正に飛ぶ様に走る。瞬発力が短距離選手に比べて違う。」
和臣に聞く迄も無く菅原には、東条まどかがテニスをして居た事が判って居た。其れが如実に表れていたのは肩。右利きであろう其の肩の筋肉は左とは違った。
「疑問なんが、なぁんで裸足で走ったか、って事な。」
写真を見た侭菅原は呟く。聞いた和臣は、まさかと思う事態に声を喉から絞り上げた。
「一度だけじゃない…」
「そういう事。多分やけど、当日犯人は前から現れたんやないかな。膝にも傷がある。爪が割れとるやろ、此れは倒れた時かな。ほんで、後ろから、ざっくり…」
自らの首にペンを向け、首から耳に掛け滑らせた。
「と、思うやろ!?」
いきなり出た菅原の大きな声に和臣の尻が椅子から一瞬浮いた。怯える姿にキリキリ笑い、和臣は口元を押さえ呼吸を整えた。
「オモロイもん、見付けた。」
眠たそうな目が瞬間ギラつき、ホワイトボードを叩いた。
「死亡推定時刻は八時から十時の間。退社時間は二時間前の六時、会社から自宅迄凡そ四十分。六時半に会社を出た場合、自宅に着くのは早くて八時前。で、此処で死亡推定時刻を絞れる出来事が起きる。木島さん、事件当日、退社した後東条まどかは恋人に会った?」
「いや…そんな事は聞いてないですが…」
会ったと過程した場合、其れをあの夏樹が隠すだろうか。和臣の見た所、会って居た場合夏樹は其れを素直に云うだろう。
菅原の口角が面白い程釣り上がり、時一に視線を投げた。
「東条まどかは事件当日、殺された後、暴行されてる。膣を調べたら痕跡があった。膣道口と膣壁に微かな裂傷、子宮口に性交痕跡、そして、膣壁に化学反応があった。人工的に作られた物質…コンドームに付着するローションが膣壁にべったりと御丁寧に付いてたわ。死んだ女は如何やって
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